沖縄で世界自然遺産地域連絡会議

ロードキルが増加傾向にあるアマミノクロウサギ

クロウサギロードキルB評価
「奄美大島全島で宿泊税導入」検討

「2023年度奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産地域連絡会議」(環境省など主催)が21日、沖縄県那覇市のほしぞら公民館であった。同省や鹿児島・沖縄両県、市町村などから関係者約90人が参加した。環境省から2019年から運用している世界自然遺産地域モニタリング調査の報告があり、奄美大島、徳之島、沖縄島北部など地域部会の取り組み状況が説明された。現地会議に出席した安田壮平奄美市長、伊集院幼大和村長は宿泊税導入やロードキル(交通事故死)への取り組みを報告した。

冒頭、ユネスコ世界遺産センターから、「登録から2年以上。観光客の増加など地域社会への変化を感じていると思う。世界遺産条約には、戦略的目標の一つに地域コミュニティーの発展がある。文化的、精神的な結び付きを維持し、暮らしの充実を図る努力が実を結ぶことを祈る」とメッセージが送られた。

環境省は、19年から運用しているモニタリング計画の評価シートに基づく4段階評価について報告。増加傾向にあるアマミノクロウサギのロードキルについて、奄美大島及び徳之島を「遺産価値に一定の悪影響を及ぼす」B評価、ネコによる希少種の捕殺対策については、奄美大島をA評価、徳之島をB評価としたと説明した。

飼いネコの管理状況については、不妊去勢手術が高い水準にあると評価する一方、マイクロチップの装着率が若干低く、室内飼養の状況が把握されていないことから、両地域ともB評価とした。

19年に発足し、民間企業など70社で構成する「世界自然遺産推進共同体」の活動についての報告もあった。

沖縄県西表島にある星野リゾート西表ホテルの細川正孝総支配人は、民間企業としての取り組みを報告。▽2泊以上の宿泊に限定▽館内でペットボトルの販売を行わない▽洗剤を使わない洗濯機の導入―など、先進的なエコツーリズムの実践例を紹介した。

安田市長は、金作原における認定エコツアーガイド同行利用、市道三太郎線における車両制限などの自主ルールの取り組みを報告。宿泊税導入を前提とした「新たな財源創設検討委員会」の議論を24年度から本格化させていることについて、「奄美大島全島での導入を図りたい」との考えを明らかにした。

伊集院村長は、アマミノクロウサギのロードキル対策について、侵入防止ネットや2段ガードレールの設置などについて発表。「沖縄での先行事例を学びながら粘り強く対策を講じる」と話した。

24年度の同会議は県本土で開催される。