徳之島で作業機械実演

ほ場内の石れき(サンプル)を粉砕してすき込み、関係者を驚嘆させた「ストーンクラッシャ」(左は処理後)=22日、徳之島町

耕作放棄地など 石れき粉砕処理に有効
「画期的」と注目

 【徳之島】徳之島さとうきび生産対策本部主催の「農作業機械実演会」が22日、徳之島町亀津のサトウキビ農場であった。トラクターに装着して耕作放棄地や開墾地などの最大直径40㌢までのハードな岩石(石れき)や雑草木を一気に粉砕する外国製2タイプ、GPS(全地球測位システム)自動操舵(国産)の3タイプを実演。関係者は画期的な機能に驚嘆、人手不足カバーなど汎用性の高さに注目した。

 農政やJA、製糖会社など関係機関・団体から約50人が参加して南西糖業・鶴田農場であった。機器およびオペレータ派遣は㈱くみき農機(沖縄県名護市)と、㈲南西サービス(天城町)=南西糖業子会社=の両社が協力した。

 機種はいずれもトラクター(90~130PS=馬力適応)型の▽「ストーンクラッシャー」(スペイン製)▽「マルチャー」(同)▽高精度農機用自動操舵システム(CHCNAV‐NX510)の3タイプ。

 「ストーンクラッシャ―」は、高速回転の固定タングステンハンマーでほ場などに散乱した最大石れき直径40㌢までを粉砕(粗砕きから微細砕まで調整可)。通常のローター起耕作業ていどの速度で深さ約15㌢・幅180㌢(TXYシリーズ)にすき込む。実演では、風化しにくく硬質な徳之島各地の花崗岩や輝緑岩類などのサンプルもことごとく粉砕してすき込み、関係者を驚かせた。

 同機は沖縄県内では既に、建設業界が着目して数台を導入、畑地帯総合整備(畑総)や開墾地などで運用中。「畑総後など、ほ場内の石を拾い集める作業は人手不足の進行で難しいが、同機なら一気に解決できる」と関係者。農作業受委託法人の㈲南西サービスの松林福光社長は「GPS自動操舵はビレットプランター(自動植付け機)用に約2年前から計3基を導入装着済み。クラッシャーについても導入を検討したい」。

 徳之島町内の建設業男性(60歳代)も「用途が広く画期的だ。(南西サービスなど)初導入機の状況も踏まえて導入を検討したい」ときっぱり。本体のみ価格約1千万円のため、農作業受委託組織や建設業界など法人組織での運用が望ましいとの声も。

 「マルチャー」も立木の最大処理直径18㌢までを作業幅160㌢~220㌢で粉砕し、2次利用で緑肥的にすき込むことが可能。トラクター自動操舵装置は、試乗者たちのハンドル手放しで直線の自動植付け作業をこなし、スマート農業の進展ぶりも再認識させた。