7年ぶり天城町総合防災訓練

真剣な表情で人工心肺蘇生法なども学んだ住民たち=25日、天城町与名間
地震後の断水を備えて、集落古来の湧水「いじゅん」も訓練に活用した=25日、天城町与名間

「自助・共助」絆・連携を確認
集落自主防災組織など約660人参加

【徳之島】天城町総合防災訓練が25日、「奄美群島太平洋沖南部地震(マグニチュード8・2)が発生、大津波警報発令、地震による火災発生」を想定してあった。住民や町、消防関係者など約660人が参加し、町内14集落の各自主防災組織が企画した訓練メニューを展開。対岸の火事ではない「いつでも起こる災害」に危機意識を高め、「自助・共助」の重要性も再認識し合った。

災害基本法の規定に基づき、災害発生時における各関係機関と住民などの緊密な連携による避難所の開設、情報収集、伝達体制、救急・救助、消火など災害応急活動の迅速な実施が目的。同町では、全集落の自主防災組織を挙げた総合訓練は2016年以来7年ぶり。

Jアラートを通じた午前8時35分の「大地震発生」、同40分の「大津波警報・避難指示」の訓練放送で始まった。あいにくの空模様にもかかわらず、各集落の自治公民館など指定避難所には住民たちが避難後、それぞれの訓練メニューで交流した。

町北端の与名間集落(平山五十六区長、約130世帯・約230人)は、岡前小与名間分校の体育館に住民や消防関係者など約50人が参加した。防災マップも使った図上訓練、集落古来の水がめの「いじゅん」(湧水)から水を調達しての炊き出し、消火器による初期消火、AED(体外式自動除細動器)訓練、防災食の試食などを実施した。

徳之島地区消防組合天城分遣所の爲(ため)大樹消防士長(35)は防災啓発講話で、阪神淡路大震災や東日本大震災、先の能登半島地震などにおける人命救助例を挙げ、「まず自分の命を守る自助、余裕があれば近隣の人を助ける共助が大事。公助(消防・警察・自衛隊など)は道路の寸断や隊員ら自らの被災で、すぐには到着できない。まずは〝自分の命は自分で守る行動〟が大事」と改めて強調していた。

炊き出し訓練に参加・協力した杉山里江子さん(48)は「災害発生時はみんなで力を合わせることが大事。非常持ち出し袋など防災リュックの常備も必要。集落の皆さんを支えていければと思う」と話した。

町災害対策本部長の森田弘光町長は「各集落が自主的に動いた訓練だった。『災害は忘れた頃に』ではなく、いつでも起きうるとの意識、能登半島地震も他人事ではないとの認識が必要。自助・共助の在り方を町民一人一人が考えてほしい」と強調した。

町防災担当者は「課題抽出では、避難用に海岸沿いの道路の利用例など指摘もあった。課題を分析・協議して次に生かしたい」と話した。