奄美大島ノネコ捕獲検討会

奄美大島のノネコの捕獲状況について報告があった検討会

全地域展開へ体制確保確認
25年度までに残り7地域へ 23年度、捕獲は過去最多

 2023年度「奄美大島における生態系保全のためのノネコ捕獲等に係る検討会」(座長・石井信夫東京女子医大名誉教授、検討委員5人)が26日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。今年度は新たに2地域で捕獲作業を始め、実施地域は計14地域まで拡大した。委員らは迫る全21地域での展開を見据え、体制確保などを確認した。

 ノネコの捕獲は生態系の保全を目的に、環境省と県、5市町村が策定したノネコ管理計画に基づき2018年7月に始まった。検討会には、学識経験者で構成する委員や関係者ら86人が参加した。

 環境省によると、23年度の12月末までのノネコ捕獲数は101匹で、1月18匹、2月32匹(速報値)を合わせると151匹に上り、過去最多だった21年度の124匹を上回る。手捕り6匹を除く95匹のうち不妊手術済み(TNR)数は37匹だった。

 23年度の捕獲作業は、継続の12地域に知名瀬(4月)と名瀬(1月)を新たに加え、14地域で展開した。作業開始以降の総捕獲数は手捕り13匹を含めて521匹となった。

 環境省は昨年、計画の工程を示すロードマップを改定した。25年度までに奄美大島全域でノネコの捕獲を展開し、27年度までに全域での生息密度の低下などを図る新たな目標を示した。

 捕獲作業の未着手地域は残り7地域。24年度は現地域との連続性などに配慮し、龍郷、秋名、崎原の3地域で着手。25年度中に残りの赤尾木、節田、赤木名、西古見の4地域で展開する見通しとなっている。

 全地域の展開に向けて委員からは、「(残りは)人口の多い地域に入る。今まで以上に関係者の連携が重要になる」「外飼いネコに対する情報を強化してほしい。島民、住民の意識にも迫ってほしい」といった意見が出た。

 石井座長は「推定されるノネコは600~1200匹と聞いている。マングースがいなくなった今、ノネコによるインパクトは増えている。凛(りん)とした対応で、効果の上がる対策として取り組みたい」と総括した。