ふるさと納税で空き家対策

ふるさと納税サイトに掲載されている空き家管理の返礼品

奄美市が返礼品メニューに
外観チェックや草刈りなど 適正管理で放置化防止へ

 奄美市は、ふるさと納税の新規返礼品として空き家の管理に関するメニュー提供を今月から開始した。空き家の外観チェックや敷地内の草刈り作業を名瀬地区と住用・笠利地区別に五つのメニューから選ぶことができる。同市は空き家の利活用による定住促進や危険空き家の除去などに取り組んでいる。ふるさと納税の利用により、寄付金と空き家の適正管理の「一石二鳥」の効果を期待。所有者にとっても空き家の維持管理につながる。26日現在、利用はまだないが、市はホームページなどを使って広報するほか、島外在住の所有者や相続予定者などに情報提供していくことにしている。

 返礼品は、市内でリサイクルショップや各種代行業などを行う㈱ねこのて(奄美市名瀬朝仁新町)がサービスを提供する。価格はサービス内容や地域などによって異なり、最も安いのは外観チェック(年2回)の2万2000円。草刈り作業は名瀬地区5万5000円、笠利・住用地区7万4000円で、外観チェックと草刈りセットで名瀬地区6万6000円、笠利・住用地区8万5000円となっている。

 市プロジェクト推進課によると、墓地の清掃などを返礼品としている自治体は多いが、空き家管理の返礼品を設定したのは奄美群島では同市が初めて。同課は「所有者が島外にいて管理を依頼することが困難なケースも多く、適正管理ができずに放置される場合もある」という。

 一方で、同課の調査などによると、空き家の利活用を検討している島外在住の所有者もいることから、「空き家管理を代行して行うサービスを利用することで、放置空き家の減少や移住、定住促進につながる可能性もある」としている。

 市は新年度予算案に「空き家解消による住環境総合対策事業」(予算額1224万円)を計上しており、安田壮平市長は開会中の市議会定例会、20日の施政方針演説で、「賃貸住宅としての利用や売買の促進をはじめ、空き家発生の抑制、緊急性の高い危険空き家除却の促進に努める」と述べるなど、空き家解消を重点施策の一つとしている。