県議会代表質問

条件改善や特性対応 奄振交付金 教育充実・文化継承も
国民保護訓練 「振り返り」で実効性向上

 県議会3月定例会は26日から代表質問に入り、同日はいずれも自民党の長田康秀議員=鹿児島市・鹿児島郡区=、吉留厚宏議員=いちき串木野市区=が登壇した。奄美群島の振興について塩田康一知事をはじめとした当局答弁で奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の改正概要、国や県の2024年度当初予算案での制度拡充内容・事業概要が説明され、国や市町村と連携し基礎的条件改善や地理的及び自然的特性に応じた振興開発を着実に推進するとした。

 西正智・地域政策総括監の説明によると、24年度は公共事業で国道58号のおがみ山トンネル整備や喜界島での農業用地下ダム工事、和泊港の防波堤整備などを計画。非公共事業の奄振交付金では▽国の制度拡充に対応し輸送コスト支援や運賃軽減事業で沖縄を対象地域とする▽市町村においてオンライン塾の開講や島口のデジタル化など教育の充実、文化の継承に役立つ事業▽家畜排せつ物の堆肥(たいひ)化促進など農業振興を図る幅広い事業推進―などに取り組む。

 能登半島地震を踏まえた防災対策について知事は「半島や離島など災害時における迅速な対応が困難となる可能性があり、頻発する災害から県民の生活・財産を守るため引き続き地域防災力の強化、災害発生時の即応力の強化に努めるとともに防災、減災、国土強靭(きょうじん)化のための計画を集中的に進める」との認識を示した。県の被災地支援も説明され、DMAT(災害派遣医療チーム)による病院への診療支援や救急搬送、DPAT(災害派遣精神医療チーム)による被災者の心のケアなどの支援、保健師チームによる避難所での住民の健康・衛生管理支援を実施したほか、石川県庁に派遣した職員が災害救助法関係業務などに従事したとした。

 南海トラフ地震による本県の被害想定及び対策については長島和広・危機管理防災局長が答弁。県では12~13年度に実施した地震災害被害予測調査で最大約1万4900棟の建物の全壊・焼失や約2千人の死者の発生など想定しており、長島局長は「この調査結果は各市町村における津波被害計画策定や防災マップの策定に活用されている」と述べた。

 1月18、21日に実施された武力攻撃による屋久島・口永良部島住民の島外避難を想定した国民保護実動・図上訓練に関する質問もあった。長島局長の答弁によると、訓練では国、本県及び熊本県の関係自治体で構成する合同対策協議会で国が決定した国民保護のための措置及びそれを踏まえた避難や避難の受け入れの方針等を共有するとともに、県国民保護対策本部会議で避難の実施に向けて住民の輸送手段や避難先となる施設の確保状況、日程等を確認。実動訓練としては屋久島町の医療機関や社会福祉施設において要配慮者を救急車両や自衛隊ヘリに誘導する手段を確認した。

 こうした訓練を踏まえた課題について、長島局長は「今回の訓練の成果について離島をはじめ全市町村と共有するとともに、地域特性を踏まえた訓練を繰り返す『振り返り』を実施することで国民保護計画の実効性をより高めていく必要がある」と述べた。

 防衛省が24年度予算案で打ち出している自衛隊施設整備の概要も説明された。それによると奄美関係では、▽航空自衛隊沖永良部島分屯基地=固定式警戒管制レーダー装置(FPS―7)の能力向上▽陸上自衛隊奄美駐屯地=車両整備場を整備するための調査設計▽同瀬戸内駐屯地=火薬庫などの整備▽瀬戸内町の古仁屋港須手地区=港湾施設の適地調査の一環として環境調査―などが計画されている。

 27日も代表質問がある。