9月「根絶宣言」へ

根絶宣言に関して合意した「奄美大島におけるフイリマングース防除事業検討会」(27日、奄美川商ホール会議室)

マングース5年8か月確認なし
奄美大島検討会

 環境省沖縄奄美自然環境事務所は「2023年度奄美大島におけるフイリマングース防除事業検討会」を27日、奄美市名瀬の奄美川商ホール会議室で開いた。22年度末までの捕獲、センサーカメラ、探索犬などにより得られたモニタリング結果に基づき算出された根絶確率の評価手法による測定結果について、初めて公開の討論会で議論。今年度末時点の測定結果集計後、8月か9月に同検討会を開き、9月をめどに「根絶宣言」することで合意した。

 検討会には、検討委員6人を含む有識者や環境省職員など、Web参加を含め約50人が出席。冒頭Web参加した環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室の大林圭司室長は「順調に捕獲数を減らし、根絶できている可能性が高まっている」とし、「根絶できれば世界的な快挙。マングースバスターズや関係者などの努力の積み重ねの成果」と話した。

 マングースは18年4月の捕獲を最後に23年末までの5年8か月年間捕獲はない。23年の報告によると①わなによるモニタリング②センサーカメラ③探索犬による探索④目撃情報―からは1件も生息の確認はされていない。マングースとみられる動物の目撃情報は4件あったが、いずれもDNA分析やセンサーカメラの確認でマングースではないことが判明している。

 マングース根絶の成否に関する評価について、23年度の数値を仮想した2種類の根絶確率が報告され、検討委員会などで協議された結果、23年度末の実数値の結果が同等の数値であることを条件に、「根絶宣言」を行うことで合意した。

 根絶確率は、算出防除作業の作業エリア単位を基本とし、複数データを用いた根絶確率算出モデル「Harvest‐basedモデル(HBM)」及び、マングースの個体単位でのシミュレーションによる根絶評価手法「Repid Eradication Assessment(REA)」により算出。22年度のデータを仮想数値として23年度の数値として算出すると、根絶確率はHBMで99・8%、REAで98・8%となる。

 また、「根絶宣言」後の計画案として「奄美大島における外来哺乳類侵入・定着防止管理計画(仮称)」が提案され、今後協議することとなった。

 検討会で座長を務めた東京女子大学の石井信夫名誉教授は「今年度中にマングースが確認されなければ根絶宣言という合意が得られてうれしい」とし、「世界的にも注目されている。宣言後の監視体制など、どういった形で終わらせるかが重要」と語った。

 環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「準備期間を含めると30年以上で、ようやく現実のものになることに喜びを感じる」と話した。