龍郷町「むんばなしのゆらい」

幾里、手広集落からは、高齢者への地域支援の取り組みが報告された(28日、りゅうゆう館)

 

 

つながりや集まる場所を
高齢者が地域で生きる暮らし実現へ
講演・取り組み報告

 

 

 2023年度龍郷町「わきゃしまどぅくさネット むんばなしのゆらい」シンポジウム(同町地域包括支援センター主催)が28日、同町りゅうゆう館であった。NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター地域支え合い推進プロジェクトの木村利浩主幹(56)が、高齢者が認知症や介護認定を受けても地域で生きる暮らしについて講演。幾里、手広集落は地域の支え合い活動の報告を行った。介護施設の責任者や医療機関も加わり意見を交わした。健康づくり活動グループ「どぅくさ会」会員など約170人が参加した。

 シンポジウムは、地域包括ケアの推進を図り、住み慣れた自宅や地域で個々の生活を続けていくことを目的に開催され、学びの場となっている。開催は5年ぶり7回目。

 則敏光副町長はあいさつで、「町内では、独居高齢者が約450人、高齢夫婦世帯が約800人。支え合いの輪を広げていきたい」と語り、医療・介護の連携、生活支援を訴えた。

 木村さんは「『いま幸せ』と語る高齢者に学ぶつながりと支え合いのある暮らし」と題し講演し、暮らし慣れた地域で一人暮らしを続けるために必要な要素を示した。

 要介護の認定を受けた高齢者が、趣味のゲートボールで笑顔を取り戻した例や、周囲と支え合いながら農作業を続ける例などを紹介。地域とのつながりや高齢者が集まる場があれば、互いが互いを補い、見守る輪ができ、「お宝」になると話した。

 続いて行われた「むんばなしのゆらい(パネルディスカッション)」では、地域の支え合い活動に取り組む「幾里はまゆう」(廣島敬久会長)と「手広どぅくさ会」(牧真美子会長)が、集落の見守り活動や脳トレゲームなどを紹介した。

 社会福祉法人竜泉会の田中大樹さんらは、認知症患者に特化したグループホームや、小規模多機能施設の仕組みなどを説明した。奄美群島で唯一、認知症疾患医療センターに指定されている奄美病院の認知症カフェなどの取り組みについての報告もあった。

 74歳の女性は「ひざが悪いが畑仕事を続けている。今の生活を続けることが肯定された気分。安心した」と話した。

 13年前に大勝集落に移住した堀内ケイ子さん(83)は「終活に入っている。人生を文章にして子どもに託す。短歌・俳句・音楽などで仲間も多い。心は青春。もっと視野を広げ、創造力を膨らませて挑戦を続ける」と前向きな言葉を口にした。

 同町の高齢者福祉計画では、認知症高齢者の推移について、生活に支障を来す「レベルⅡ」以上の出現者の割合を85歳以上約20・4%と記している。