県議会一般質問

徳之島空港、名瀬港、和泊港も
自衛隊・海保利用へ整備の「特定利用空港・港湾」
肉用牛農家支援 新年度当初案で6億4千万円

県議会3月定例会は29日から一般質問に入り、同日は平良行雄議員=共産、鹿児島市・鹿児島郡区=、湯浅慎太郎議員=県民連合、姶良市区=、角野毅議員=自民党、鹿屋市・垂水市区=、田畑浩一郎議員=自民党、南九州市区=が登壇した。国は南西諸島を中心としながら、その他の地域でも自衛隊、海上保安庁が平時から必要な空港・港湾を円滑に利用できるようインフラ管理者との間で、円滑な利用に関する枠組みを設けることを「特定利用空港・港湾」としているが、この中で奄美からは徳之島空港、名瀬港、和泊港を選定していることが報告された。

平良議員が取り上げ、「空港・港湾の戦時利用」として県は拒否するよう求めた。安原達・土木部長兼本港区まちづくり総括監の答弁によると、特定利用空港・港湾では民生利用を主としつつ、自衛隊や海上保安庁の艦船、航空機の円滑な利用もできるよう必要な整備または既存事業の促進を図るもの。本県には昨年12月に国の担当者から概要について説明があったものの、安原部長は「枠組みの効果、地元首長への対応、空港や港湾の選定理由など不明な点が多いことから現在、説明内容について問い合わせをしている」とした。特定利用空港・港湾の候補として検討されているのは、空港が2港(鹿児島空港も)、港湾が6港(奄美の2港以外は鹿児島、川内、志布志、西之表)。

安原部長は「引き続き必要な情報収集を行って対応を検討していきたい」、塩田康一知事は県で計画されている防衛施設整備全般に関して「不安や懸念が生じないよう、しっかりと国の方が説明責任を果たすよう丁寧な情報提供を求めていきたい」と述べた。

飼料価格や資材費が高騰する一方、子牛値段が1頭あたり10万円以上下がり厳しい経営状況にある畜産農業に関する質問では、新年度の組織体制で「畜産課」から「畜産振興課」に改組する狙いが取り上げられた。米盛幸一農政部長は「生産基盤の維持拡大や経営安定対策はもとより国内外において鹿児島県産和牛のさらなる認知度向上、販路拡大、消費拡大、輸出促進などを図り畜産業の稼ぐ力の向上につなげるため既存組織を改組して『畜産振興課』とし、畜産流通対策監や畜産流通係を設置するなど体制を強化する」と説明。

肉用牛農家対策で、繁殖農家については四半期ごとの全国の子牛市場の平均価格が発動基準価格を下回った場合に差額を交付する国の肉用子牛生産者補給金制度が設置され、肥育農家については粗収益と生産費の差額の9割を補填(ほてん)する国の肉用牛肥育経営安定対策交付金制度が措置されている。さらに配合飼料価格の上昇が畜産経営に及ぼす影響を緩和するため国は配合飼料価格安定制度を措置している。米盛部長は県の新年度予算案について「これらの制度の生産者積立金の一部を助成しており、新年度については当初予算案に総額6億4千万円を計上している」と述べた。

1日も一般質問がある。