瀬戸内町×JALのドローン会社

運航開始の第1便が与路島に向かい古仁屋漁港を出発(2月29日午前11時20分頃)

地域課題解決に向け握手を交わす、奄美アイランドドローンの㈱登島敏文代表取締役(中央)、鎌田愛人町長(左)JALデジタルイノベーション本部エアモビリティ創造部の村越仁部長

請、与路へ運航開始
「ニーズ把握し課題解決へ」

瀬戸内町と日本航空(JAL)が共同設立した、ドローン運航会社「奄美アイランドドローン㈱」は2月29日、同町の二次離島である請島、与路島への物資運搬用のドローン運航を開始した。初の運航となるドローンは、悪天候により町営船「せとなみ」が欠航する中、与路島へ医薬品や新聞などを届けた。

同社は、2023年11月30日に設立。町企画課課長の登島敏文氏が代表取締役を務め、業務担当役員を同町職員、オペレーション担当役員をJAL社員が務める。登島代表取締役は「安全管理に努め、町民、島民のニーズを把握しながら、地域の課題解決に努めていきたい」とあいさつした。

同町は「“誰もが住み続けたい”サスティナブルなまちづくり」を目指し、ドローン輸送の導入を生活の安心・安全と集落機能の維持を図る新たな行政サービスとして位置づけし、JALグループと連携協定を締結。防災から生活物流にわたる地域課題の解決に向け、ドローンやデジタル技術を活用した離島モデルの社会実装を目指し、20年10月から共同検討・実証実験を積み重ねてきた。

使用する機体は、能登半島地震の物資運搬にも使用された、ヤマハ発動機製の産業用無人航空機“FAZER RG G2”で、同社用に貨物自動切離装置などを搭載している。最高速度は時速72㌔、搭載可能重量は15㌔、平均風速毎秒10㍍まで運航が可能となっている。

この日は午前11時20分頃、古仁屋港を出発し、同50分頃に無事荷物を与路島に送り届けた。与路島で荷物を受け取った、信島豊武区長(67)は「定期船が欠航する中で医薬品が届いてうれしい。緊急時に役立つ運搬手段になってほしい」と話し、「いずれは個人の荷物も運べるようになったら」と期待を寄せた。

鎌田愛人町長は「ようやく本格始動した。充実した住民サービスに努めていく。これをきっかけに奄美を含め、全国の離島での活用につながるとうれしい」。JALデジタルイノベーション本部エアモビリティ創造部、村越仁部長は「産官学が一体となって取り組んできた。普段から災害時を意識していくことが必要。ドローンはこれからの社会に役立つ技術であり、意義ある取り組みになる」と語った。

今後初期段階として、手安ヘリポートから第1木曜午前①与路便(医薬品・新聞)②池地便(給食食材・新聞)、第1金曜午前①与路便(給食食材・新聞)②与路便(給食食材)、第3木曜午前①与路便(給食食材・新聞)②池地便(給食食材・新聞)、第3金曜午前①与路便(給食食材・新聞)の月7便(与路5便・池地2便)の運航を予定している。