「奄美大島食肉センター」完成

食肉センター施設内部の見学を行う安田壮平奄美市長(右から2人目)と奥輝人同市議会議長(左)

4月から供用開始となる「奄美大島食肉センター」(奄美市環境対策課提供)

4月1日から供用開始 年間2千頭の処理目指す
奄美市名瀬朝戸

 既存施設の老朽化に伴う移転新築工事が進められ2月末に完成した「奄美大島食肉センター」の開所式が1日、奄美市名瀬朝戸であった。施設は、国際的な食品衛生規格となるHACCP(ハサップ)認証を受け、奄美の食文化であるブタ、ヤギの処理頭数年間2千頭を目指す。4日から試験運転を始め4月1日に供用開始する。式典には議会、工事関係者に加え、事業の補助を行った防衛省九州防衛局や周辺集落の代表など約70人が参加した。

 新施設は、本体鉄骨平屋建て1棟(延べ床面積約625平方㍍)、排水処理施設鉄筋コンクリート造り平屋建て1棟(同約115平方㍍)で構成。解体室、内臓処理室、部分肉加工室などを備え、と畜~解体~懸肉(塊肉をつるす)~枝肉冷蔵~部分肉加工の作業工程をワンウェイで行う動線の工夫が施された設計となっている。

 総事業費は約10億9千万円。3分の2にあたる約7億1千万円は、防衛省の防衛施設周辺民生安定施設整備事業の補助で賄った。

 1日の処理許容量は25頭。受け入れ地域は限定しておらず、将来的には年間2千頭の処理を目標にしている。既存施設にはなかった冷蔵設備を完備。作業する部屋は特殊な壁で覆い、年間を通して一定の温度で作業できる。当初は4人体制で稼働し、「処理頭数が増えれば増員する」(市環境対策課担当者)という。

 安田壮平奄美市長は「島ブタ、島ヤギを好む奄美独自の食文化継承のため、営農事業者、食肉店とともに発展させたい」と期待を述べ、「特産品として観光客にも提供したいと考えている」と話した。

 防衛省九州防衛局の池田眞人(まこと)次長は「奄美ブランドの構築と奄美の発展につながってほしい」とあいさつした。

 「と畜場法」に基づき(病気などの)と畜検査を担う名瀬保健所の相星壮吾所長は施設見学の後、「感染や事故につながりにくい設計になっていた。作業スペースも広く汚水処理や排水設備も完備している」と評価した。