村民らを前にJMAT活動の報告をする小川信・大和診療所長(4日、同村防災センター)
元日に発生した能登半島沖地震で、「亜急性期」の2月に被災地支援に派遣された大和村の災害医療チーム(JMAT)4人の活動報告会が4日、同村防災センターであった。被災後の混乱が続く石川県輪島市門前町で、全国から派遣されてくる各種支援チームの統括を任され、「貴重な経験になった」と話した大和診療所所長の小川信医師(49)。「ほとんどの地域は高齢者が施設ごと都市部へ移動していた。高齢者が減少していく未来の縮図を見た」と話した。同行した保健師、看護師、救急救命士の3人も、それぞれの視点からの報告を行った。昨年、線状降水帯による被害を受けた村民の関心は高く、約50人が耳を傾けた。
同チームは、日本医師会の要請を受け、2月8~13の6日間同地で活動。「地元の医療機関の機能が回復するまでの活動(の一部)を担った」という。
同県庁内に置かれたJMAT本部から、門前支所での医療チームの統括任務を任された小川医師は、「一番やりがいがあった」と発言。全国から毎日のように派遣されてくるDHEAT(保健所)、JRAT(リハビリ)などの専門チームとの連携に努めたという。
同診療所の看護師、元山淳子さん(40)は、避難所への往診などの状況を報告した。
2011年の東日本大震災後に作られた情報共有ソフト「災害診療記録(J‐SPEED)」を活用したという保健師の藤村まりなさん(28)は、「支援者の健康状態を入力、被災地での継続診療を可能にした」と報告した。
現場の状況について藤村さんは、「道路のあちらこちらが陥没し、信号や電柱が傾いていた。門松やしめ縄がそのまま残り、時が止まっている感覚になった」と情景を表した。
救急救命士の中島繁さん(45)は、断水が続く中での消火体制について報告。調査する中で、「想定外の訓練の必要性を感じた。経験を業務に還元していきたい」と話した。
同村津名久の永田世史さん(86)は、「ニュースで見ていたが、チームの活動報告を聞き誇りに思う」と話した。
小川医師は、「災害は地域で起きる。地域が強くなる必要がある」と体制強化が必要と語った。