県議会3月定例会は5日、一般質問(最終日)が続開され、同日は米丸麻希子議員=自民党、姶良市区=、上山貞茂議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、園田豊議員=自民党、南さつま市区=、日高滋議員=自民党、西之表市・熊毛郡区=が登壇した。国内に五つある世界自然遺産地域の連携強化について重要との考えが示され、県の生物多様性戦略に交流促進を新たに追加することが報告された。
選挙区に屋久島がある日高議員が取り上げた世界自然遺産地域の連携強化について塩田康一知事は「2021年の奄美大島、徳之島の世界自然遺産登録により屋久島と合わせて二つの世界自然遺産を持つ全国唯一の県であり、国内で世界自然を有する5地域の関係者間で個別の地域課題や取り組みなどについて認識を深め、連携強化を図ることは重要」と答弁した。
昨年1月には世界自然遺産を有する全ての市町村などの代表者が屋久島に一堂に会し世界自然遺産5地域会議が発足したが、知事は「同会議では各地域の課題や取り組み事例を共有するとともに、来年の大阪・関西万博において共生や環境文化という日本型自然保護のメッセージを国内外に広く発信することを目指している」と述べた。今年度に改定予定の生物多様性戦略でも自然と共生する社会を実現する観点から世界自然遺産地域間の交流促進について、行動計画の項目として追加するとした。
不快害虫で健康への影響も懸念されているヤンバルトサカヤスデ対策が取り上げられた。原口義明・環境林務部長の答弁によると、1991年に徳之島町で発生が確認されて以来、これまでに県内32市町村で確認されており、今年度は1月末現在24市町村649地区で確認されている。廃棄物・リサイクル対策課によると、24市町村には奄美群島から10市町村(奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町、喜界町、徳之島町、天城町、伊仙町、和泊町)が含まれており、知名町と与論町からの報告はない。昨年同時期より市町村、地区数ともに減少しているものの、地区数が増加している市町村もみられるという。
県による対策では、大学や民間の研究者、市町村等で構成する対策検討委員会を設置し駆除や蔓延(まんえん)防止対策などについての検討や、その結果をまとめた冊子及び蔓延防止対策に関するリーフレットによる普及啓発などが行われている。発生地域では市町村と連携し住民への注意喚起や駆除剤の使用についての現地指導のほか、マニュアルを活用した侵入防止対策の周知をしている。原口部長は「今後とも発生状況の情報収集に努めるとともに、専門家の知見を活用するなど市町村と連携しながら対策に取り組む」と述べた。