タンカンの木オーナーで返礼品

ふるさと納税の寄付者がタンカンの木のオーナーとなり、元井農園で収穫を体験した


収穫量は約50㌔もあった。園主の元井孝信さん(前列左)と参加者の記念撮影(いずれも提供写真)

収穫体験、採れたて味わう
奄美市ふるさと納税

 自治体への寄付となるふるさと納税は、返礼品が選ぶ判断の要素となっている中、奄美市は産物だけでなく体験もできる返礼品を新規に扱っている。昨年末に受け付けた「奄美たんかんの木まるごと1本オーナー権」で、第1号となった寄付者が今月上旬来島し、特産果樹・タンカンの収穫を体験。山地にある果樹園で生産農家との会話も楽しみながら採れたてを味わい、好評だった。

 糖と酸のバランスが良く、果汁たっぷりで果肉を包む皮(じょうのう)も薄く柔らかいことから食味がいいタンカン。ふるさと納税の返礼品として人気だが、同市プロジェクト推進課によると、収穫体験まで加えようと考案。古くからのかんきつ産地である「住用地区を盛り上げたい」と元井農園(元井孝信園主)の協力で実現した。

 最低20㌔を保証するタンカンの木オーナー権制度は、寄付金額17万5千円でもらえる権利。寄付を申し込むと入金後、元井農園からオーナーカード、パンフレットなどの案内書が送付され、収穫まで元井農園で大切に栽培後、収穫時期が連絡される仕組み。申し込みを昨年11月15日~12月末まで受け付けたところ、関東在住者から1件の寄付があった。収穫は寄付者のほか、同行者3人の計4人で体験。4人までを上限にしたという。

 オーナー権が設定されたのは品質のいいタンカンが栽培できる果樹園。参加者は完熟を示す紅が乗った果実を、元井さんのアドバイスを受けながら収穫用はさみを手に一つ一つ丁寧に摘み取った。同課ふるさと納税推進室の宮田夏弥(なつみ)さんは「参加者は、緑に囲まれた自然の中で初めてという収穫を楽しんでいた。普段できない体験後、木になっていた採れたての果実をその場で味わうと、おいしさが格別だったのか大喜びだった」と話した。受け入れた元井さん(67)は「山の上にある果樹園で、1本の木だが、着果状態が良くコンテナ3箱分約50㌔も収穫できた。ちょうど酸も切れ完熟を提供できた」と振り返った。収穫品は元井農園で箱詰めし発送したという。

 同課はこの制度を継続する方針。新年度は早めに申し込みを受け付け、着果から収穫までの過程を伝えていくことも検討している。