徳之島町立山中で卒業式

「休校」を控えた母校を巣立った卒業生たち=12日、徳之島町


風光明媚(めいび)な臨海学校の趣を備えた山中学校

6人の晴れの門出を祝福 「休校」を控え心境複雑

 【徳之島】徳之島町立山(さん)中学校(廣瀬孝一校長)で12日、第79回卒業式が行われた。全校生徒7人のうち3年生6人が青雲の志を胸に、祝福と期待のエールを浴びながら思い出の学びやを後にした。一方で同校は来月から「2年間の休校」に入る。校区住民など関係者たちは晴れの門出を祝いつつも、母校の休校に複雑な心境をのぞかせた。

 体育館であった卒業式には来賓や保護者、校区住民など関係者約70人が出席。廣瀬校長が卒業生一人一人に卒業証書を授与し、式辞で「(卒業が)6人しかいなくても、1年生と共に全力を注いできた。母校の山中は4月から2年間休校に入ります。名残惜しいが、新しい未来・希望に満ちた未来は正門の向こう側で皆さんを待っています」などと激励した。

 町教育委員会告辞の中で福宏人教育長(同中OB)は、休校に関し「今後、町当局と町教委で新しい時代に向けて検討したい」。高岡秀規町長は祝辞で休校には触れず、グローバルに多方面に羽ばたく卒業生たちの活躍に期待した。

 埼玉県からふるさと留学中の唯一の在校生・吉冨秀音さん(1年)が、先輩たちとの1年間の思い出を振り返りながら送辞。卒業生を代表して松村尚太朗さんが答辞で「お祝いの言葉を心に刻み、夢や目標に向かって精いっぱい頑張ります」などと学校や保護者、地域にも感謝を述べた。

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 休校問題は、町教委や同校「学校の在り方検討委員会」(学校、保護者、地域で構成)で協議を重ね、昨年8月までに結論付けていた。在校生(ふるさと留学生)1人も3月末で終了し、山小の現6年生も1人だけ。25、26年度の2年間は入学見込み者ゼロの空白が続くことなどが背景となった。

 卒業式に臨席した住民男性は「例年に比べ住民の姿は少なかった。卒業生たちの門出を祝福しつつも、母校が休校となる寂しさは拭えないと思う。山校区は、山海の自然景観・環境に恵まれた地域。産業振興や定住促進にもっと力を入れるべきだ」とも語った。

 山中は1948(昭和23)年3月東天城村立第二中として山小敷地内に設置後、51年に現在地に移転。58年4月の町村合併で徳之島町立山中に校名変更し、90年3月には新校舎が落成した。一時期は100人以上が在籍し、今年度卒業生6人を含めた卒業生総数は1858人に上る。今月25日の修了式があり、休校に入る。