人間国宝・森口氏、講演へ

人間国宝・森口邦彦氏の講演会を企画している銀座もとじの泉二弘明会長(左)と啓太社長

世界で活躍、銀座もとじで作品展
6月、奄美市で

 友禅の技法(染め)で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されている森口邦彦氏(83)が6月、奄美で講演を行う。作品展を開催した㈱銀座もとじ(東京・銀座に男女の着物専門店を2店舗構える呉服店)が主催。大島紬従事者だけでなく高校生など次世代を担う若者を対象に、森口氏の経験を通して「生まれ育った島の良さを知る」大切さを伝える。

 代表取締役会長で龍郷町出身の泉二(もとじ)弘明氏(74)、同社長の啓太氏(39)が14日に奄美新聞社を訪れ報告した。京都市生まれの森口氏は同市立美術大学(現・京都市立芸術大学)日本画科卒後、渡仏。パリ国立高等装飾美術学校でグラフィックデザインを学び卒業。帰国後、父親の華弘氏(友禅で人間国宝)の下で友禅技法を学んだ。

 2014年にリニューアルされた三越のショッピングバッグに友禅訪問着のデザインが採用されたことでも知られる森口さん。幾何学模様を配したグラフィカルな表現を作風にしており、作品は文化庁、国内外の美術館などに所蔵されている。1978年に、父親が1週間ほど奄美大島に滞在し、特別な大島紬のデザイン(図案)を行い、都成織物が制作と奄美大島とのつながりがある森口氏。銀座もとじでは、2019年に森口氏の初個展を開催し、22年には染織界の二大巨匠(北村武資氏と森口氏)による史上初のコラボレーション展を企画、反響を呼んだ。

 森口氏の講演会は6月16日に奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で予定。銀座もとじでは、関係団体(紬協組)や自治体・教育委員会などを訪問し、講演会への協力をお願いしている。弘明会長、啓太社長は「島の子どもたちは進学や就職で、ほとんどが島外に出る。その前に自分が生まれ育った土地の豊かさ、良さを知ることは、人生の生きる力となり、創造力となる。講演を通し、こうした森口さんの思いに触れることができる。国内だけでなく世界で活躍する森口さんが来島する。島でデザインに携わっている方を含めて、これからの奄美を担う次の世代のみなさんに講演を聞いてほしい」と語った。