縄文時代の生活跡にひたる

天城町の「コウモリイョー遺跡」で発掘作業を体験した西阿木名中の生徒たち=14日、同町西阿木名


小海岸段丘上に立地した「コウモリイョー遺跡」

「コウモリイョー遺跡」発掘体験も
天城町西阿木名中

 【徳之島】天城町立西阿木名中学校(久木崎晃誠校長)の2、3年生7人の遺跡見学・発掘体験フィールドワークが14日午後、西阿木名地内の海岸段丘上に位置する縄文時代中期の重要遺跡「コウモリイョー遺跡」であった。講師は発掘調査3年目の東北大学・東北アジア研究センターの佐野勝宏教授(47)が協力。約4500年前の生活痕など考古学のロマンにひたった。

 「コウモリイョー遺跡」(イョーは洞穴の意味)は、同地の「下原洞穴遺跡」から南に約200㍍の海岸段丘上に立地。天城町教育委員会の2016年9月の試掘調査では面縄前庭式、曽畑式、爪形文土器をはじめ哺乳類や魚骨などが出土。東北大学・東北アジア研究センターの佐野教授らは、下原洞穴遺跡と同様の重要な成果が見込まれると重視。22年3月に第1次発掘調査を実施。3年目の第3次発掘調査は、東北大2年生~大学院生ら13人が参加して今月2日に着手、18日までを予定している。

 中学生たちはヘルメットを着用して段丘崖中腹の「コウモリイョー遺跡」(洞穴内)に到達した。佐野教授は「下原洞穴遺跡」と同データを期待して4か所にトレンチ(試掘溝)を設定し、火を焚いた痕跡の炭や灰層、イノシシやアマミノクロウサギなどの骨、装飾用のイモガイのビーズなど出土品の種類や特徴などを分かりやすく解説した。

 琉球列島の石灰岩層の遺跡を重視する背景では、日本の旧石器時代(約3万8千年~1万5千年前)の骨は、琉球列島以外の地域(火山性酸性土壌)ではほとんど残らないこと。究極の調査目標は〝旧石器時代の人骨〟にあることも示唆。炭化物や動物の骨(コラーゲン)、放射性炭素など年代測定の方法も紹介。質問に応じ、レーザー照射測量や傾斜角度測定器など最新の機器も紹介した。

 その上で中学生たちには、「(縄文時代のヒトたちは)その地域の自然環境に適応し、自然と調和しながら狩猟・採集で生きた。地球環境と調和しながら生きていく術(すべ)を、昔の人たちの生活スタイルを参考にしてほしい」とも強調。

 中学生たちは発掘資料をふるいに掛けて土器片や獣骨を見つけ出す選別作業も体験。生徒代表の井上恭仁さん(2年)は「根気のいる作業だが、自分たちの知らない世界を調べて発見することはすごく格好いい」とお礼を述べ、「宝探しのようで楽しい。これからも興味を持って調べてみたい」と話した。