グリーンスローモビリティ実証走行開始

自動運転中の車両の乗り心地を確かめる参加者ら(15日、知名町昇竜洞)

名古屋大開発の自動運転技術活用
知名町

 【沖永良部】グリーンスローモビリティ(低速電動車両)を活用した実証走行の開始を祝う式典が15日、知名町の観光スポット「昇竜洞」であった。同町役場や名古屋大学などの関係者ら約20人が参加し、実証走行で用いる車両の乗り心地を確かめた。実証走行は16日から。

 同町は昨年8月、島の交通課題と脱炭素の取り組みを強化するため、ヤマハ発動機と名古屋大学の3者間で包括連携協定を締結した。今回の実証走行は連携協定における取り組みの一環で、名古屋大学が開発した自動運転技術(ADENU)を搭載したヤマハ発動機製のグリーンスローモビリティを使用する。自動運転技術を用いた実証走行は県内初の取り組みとなる。

 走行区間は、昇竜洞の出口駐車場から入口駐車場までの片道600㍍。この区間は、訪れた観光客が上り坂を徒歩で移動しなければならないため、夏場は熱中症の危険があり問題となっていた。

 車両はドライバーを含め4人乗りで、最高速度は14㌔。全周囲の環境を認識するレーザーセンサーが設置され、事前に登録された地図情報と、センサーで取得したリアルタイムの情報を使って障害物を検知しながら決められたルートを自動走行する。障害物がある場合は自動で停止する。

 新年度は、昇竜洞周辺での実運用に向けて運行体制の確立と車両の充電が行える専用ガレージの整備を目指す。

 式典で今井力夫町長は「自動運転の技術は、過疎地における地域のモビリティの維持を考える上で大きな意義がある。実験結果をもとに町内のあらゆる場所で活用できるようにしていきたい」とあいさつ。

 名古屋大学未来社会創造機構モビリティ社会研究所の森川高行教授は「地域の公共交通機関が廃止されたり、サービスが低下したりしている中で、自動運転の車両が地域の課題を解消する決め手となってほしい」と述べた。

 式典後は体験試乗も行われ、参加者は自動運転の技術を体験した。

 実証走行の期間は今月16日から6月30日までの土・日・祝日。時間は午前9時~午後5時まで。