奄美野鳥の会  オオトラツグミ一斉調査

1時間にわたる調査の終了後、確認作業をする調査員ら(17日、奄美市住用町)=提供写真=

奄美大島だけに生息するオオトラツグミ(資料写真)

過去最高117羽確認
個体数の回復傾向続く

奄美大島だけに生息する国指定の天然記念物の野鳥、オオトラツグミの一斉調査が17日早朝、奄美中央林道であった。島内外から参加した66人が林道を歩き、鳴き声を聴き取り、過去最高の計117羽(速報値)の生息を確認。主催するNPO法人奄美野鳥の会は「近年の数は比較的安定傾向。今回は天候に恵まれ、(調査の)コンディションが良かったと思う」とした。

オオトラツグミは奄美大島の老齢な照葉樹林内に生息。全長約30㌢。名前の由来は全体的に暗めの黄褐色で、黒い大きなうろこ状斑が密にあることから。環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類。

調査場所は奄美市名瀬から宇検村をまたぐ奄美中央林道(約42㌔)で実施。1人、もしくは2人1組で往復4㌔を、午前5時30分から約1時間を掛けて調査。「キュロロ」と鳴き声が聞こえる都度、場所や方角、時間など地図に記録した。

4回目の参加となった奄美市名瀬出身、現在島外の大学に通う畠山葉生さん(19)は「オオトラツグミは年々回復していると実感できた。アマミノクロウサギを10匹以上見つけ、奄美の自然の豊かさを改めて感じられて良かった」と笑顔で話した。 

永井弓子会長(49)は「昨年は回復傾向にあることを踏まえ、調査の区切りの年とし、今年は調査規模を縮小、支道などの調査はしなかった。しかし、調査は継続に意味があるので引き続き、奄美中央林道を対象に継続したい」と話した。

同会はボランティアなど含め、1994年から毎年3月頃の繁殖期に調査を実施し今年で31回目。生息状況の把握による保護へ役立てることが目的。開始年以降50羽で推移していたが、2013年を境に100羽前後まで急増。近年は回復傾向が続いている。