外来カイガラムシのソテツ被害

 

 

 

奄美市で増加、防除薬配布
県発生状況更新

 

 ソテツを加害する外来カイガラムシ(アウラカスピス・ヤスマツイ=英語表記の通称CAS〈キャス〉)の奄美大島での被害について県はまとめ、3か月に1回更新している。最新の今年2月末現在の状況では昨年11月末に比べ奄美市で52本増加、同市では2月から防除薬剤の配布が始まっている。

 県森づくり推進課によると、被害を示す本数は市町村などの報告によるもので、視認による推定本数。市町村報告は公共施設など公有地に植栽されているものが主体とみられている。

 国内で初確認となった時点では570本の被害発生本数だったが、1年後の昨年11月末で2503本と4・4倍に拡大。北部地域だけでなく南部でも発生が確認され、島内5市町村全域に及んでいる。3か月後の2月末現在では龍郷町、大和村、宇検村、瀬戸内町は変動なしだが、奄美市のみ増加した。同課は「奄美市では笠利や住用地区で増えていると聞いている」と説明する。

 同市では防除薬剤の購入費として54万円を計上。民有地での対策を推進するため、市内自治会や町内会、集落などへの配布を計画。市農林水産課によると、2月1日から配布を開始したところ、笠利地区や住用地区では配布割合が80~90%に達しており、薬剤を受け取った地域で防除が進められている。同課は「全体でも3分の2には配布済み。防除を進めながら被害状況についても把握していきたい」としている。

 主な登録薬剤としてマツグリーン液剤2などがあるが、浸透性のため「ソテツ新芽に影響が及ぶ恐れ」が懸念されていた。試験研究などにより薬害はないとされ、5~8月の新芽の時期に散布しても問題がないことが明らかになっている。