3年ぶりの「三京分校」卒業生として祝福を受けた太田ななみさん=22日、天城町
全在校生が「山海留学生」ファミリーの三京分校
【徳之島】全校児童が県外からの「山海留学生」の天城町立西阿木名小学校三京分校(久木崎晃誠校長・児童数7人)では22日午前、3年ぶりの卒業式があった。2年生のときに愛知県から一家4人で同町に転入し、分校の存続危機を救いながら「三京っ子」のリーダー的存在でミニ分校を輝かせてきた太田ななみさん(12)。後輩や住民の祝福を受けて分校を巣立った。
三京分校は、世界自然遺産の島・徳之島のほぼ中央部の山間(あい)の懐にいだかれた極小規模校。1人だけの6年生ななみさんは、2019年8月、愛知県豊田市から天城町にIターン就農した太田照久さん(49)・はるかさん(49)の長女。兄の悠さん(15)=当時5年生、現在西阿木名中3年生=と兄妹だけで分校存続の灯を守った年も。
分校の講堂であった卒業式(卒業証書授与式)には、来賓や地域住民など合わせ約40人が駆けつけた。ななみさんはちょっぴり照れ気味ながらも、堂々と花アーチをくぐり祝福の拍手に迎えられた。久木崎校長が卒業証書を授与してたたえた。
同校長は式辞で「三京分校のことを一番知っている先輩として頑張ってきました。『三京っ子』の精神をフルに発揮し、さまざまな困難があっても、楽しい中学校生活を送って下さい」などと祝福。PTA会長あいさつで照久さんは「最少2人の三京分校も今では7人。毎日楽しく女子トークで通う姿を見て三京分校に来て本当に良かったと思っている。ななみには優しさ・強さ・ここ一番の集中力、自分自身に対する自信がある。中学生活にも挑戦、前に突き進んでほしい」とわが子にエールを送った。
ななみさんは「お別れのことば」で、家族同様に過してきた在校生たちに「私が卒業しても今まで通り三京分校は動いていきます。三京っ子の団結力で助け合い支え合ってほしい」。両親には「この歳になって、やっと親のすごさやありがた味を感じるようになった。私の目標は親孝行。大人になったら(両親の)『かえる農園』の野菜を使ったカフェを開きたい」と感謝を述べた。卒業した兄・悠さんと入れ替わりで西阿木名中に入学する。
三京分校の全在校児童は、人口や地域活性化対策にも絡めた町「山海留学制度」利用者。24年度は新たに2人が県外から転入を予定。複式学級での全学年在籍(4、5年生各2人)による計8人への増加が期待されている。