『南島雑話』で島の幕末ひもとく

今年度の講座を終え、修了証を受け取る受講生

古文書解読講座 33人、奄美博物館で閉講式

 2023年度奄美博物館古文書解読講座の閉講式が24日、奄美市名瀬の同博物館であった。今年度は、幕末期に書かれた奄美大島の民俗誌『南島雑話』を教材に、島の風俗や生活文化を読み解いてきた。受講生らは修了証を手に1年間の学びを振り返り、互いの成果をたたえ合った。

 奄美群島に残る史料・文献を教材に学ぶ恒例講座で、山下文武さんを講師に1993年に始まった。今年度は5月に開講し、本田富男さん、平瀬達朗さん、森紘一さんの講師3人を含む33人が受講した。

 南島雑話は、1850年に島流しにされた薩摩藩士・名越左源太著書の総称で、今年度は複数ある解読本の中から同館が所蔵する永井家本と呼ばれる写本「大嶹竊覧(だいとうせつらん)」「大嶹便覧(びんらん)」「大嶹漫筆(まんぴつ)」の3巻を活用した。講座は計21回。講師指導の下、史料に記された当時の動植物や農耕儀礼、冠婚葬祭などを深くひもといてきた。

 閉講式で伊集院正奄美博物館長は「南島雑話は奄美博物館の中でも一級の資料。皆さんで理解を進めることは大変ありがたい」とあいさつ。一人一人に修了証を手渡した講師の本田さんは、同館が所蔵する名越左源太直筆『雑記下書(したがき)』などを例に、「南島雑話には優れた史料がまだたくさんある。いろんなものを活用して学んでいただければ」と呼び掛けた。

 同市名瀬在住で受講歴は10年超の服部香さん(75)は「島の古い歴史を知らないことが悔しくて始めた。(学ぶことで)島を知りたいという思いはさらに深まってきた」と話した。

 次年度は4月から受講生募集を開始。5月12日の開講を予定している。