「買い物弱者」支援促進

県、新年度 相談窓口を社協に設置
県内で14万人と推計

 流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品など日常の買い物が困難な状況に置かれている人々を指す「買い物弱者」(経済産業省定義)。県内には約14万人存在すると推計される中、県は新年度、新規に支援促進事業に取り組む。住民などからの相談を受ける窓口を県や市町村の社会福祉協議会に設置し、市町村が行う買い物弱者対策の取り組みを支援する。

 新規事業(買い物弱者支援促進事業)は2024年度当初予算に3723万7千円を計上。住民向け買い物弱者支援サービスや県及び市町村が行う買い物支援に関する情報発信を行うとともに、相談窓口を社協に設置するもの。また、新たに買い物支援の検討や移動販売などの買い物弱者対策の導入支援に取り組む市町村に対して必要な経費を助成する。先進技術を活用した支援などの調査普及にも取り組む。

 当初予算を審議した県議会では、県内の買い物弱者の数が取り上げられた。総合政策部の西正智・地域政策総括監の説明によると、農林水産省では店舗まで直線距離で500㍍以上かつ65歳以上で自動車を利用できない人を「食料品アクセス困難人口」と定義。15年度の調査により鹿児島県の食料品アクセス困難人口は14・6万人と推計されている。買い物アクセスマップ作成時に県が行った調査では、65歳以上の人口割合が50%以上かつ食料品・日用品の店舗数が1件以下である500㍍四方の区域に居住する人口は約14万人としている。

 新規の支援促進事業を進めるにあたり県社協、市町村社協への周知がポイントになる。県は各社協及び市町村に対する説明会を開催する方針。相談窓口設置では、連携して買い物弱者支援に対応することを説明し理解を得る考え。相談を受ける住民への周知も必要となる。相談窓口開設を県や市町村のホームページで伝えるほか、地域別にリーフレットを作成し高齢者世帯を中心に配布することも検討している。

 こうした買い物弱者支援は、22年12月に県議会が政策提言している。提言を受けて県は買い物弱者支援推進本部を設置するとともに、部局横断的に政策の検討を行う買い物弱者支援推進班や、各地域振興局・支庁に買い物弱者地域支援推進班を設置。市町村や事業者などと連携して各地域における支援体制が整備された。

 併せて県内の区域ごとに人口に占める高齢者数の割合や小売店舗の状況を分析した買い物アクセスマップを作成し、奄美群島の状況も島別にマップができている。市町村や集落、買い物サービスの提供事業者に対して買い物実態、必要と考える支援について調査・分析。調査結果、地域推進班会議における市町村、事業者等との意見交換を踏まえ、市町村と連携した買い物支援推進や事業者と関係者におけるマッチングの推進など県議会の政策提言に掲げられた項目に対する県の施策を取りまとめた。