持続可能な地域づくりとサンゴの海再生へ

協定書に調印した左から渡邊剛理事長、田畑克夫町長、吉田勉理事長(25日、与論町役場多目的ホール)

 

 

3者間で連携協定
与論町、喜界サンゴ研、海の再生ネット

 

 

 【沖永良部】与論町と喜界島サンゴ礁科学研究所、海の再生ネットワークよろんの3者は25日、包括連携協定を締結した。町の第6次総合振興計画の重点プロジェクトに掲げる「持続可能な地域づくりと連携したサンゴの海の再生」と「持続可能な地域づくりに寄与する環境学習の推進」に向け、連携して取り組んでいくことを決めた。

 町は、2016年度に環境省が計画した「サンゴ礁生態系保全行動計画2016―2020」のモデル地区に選出。陸域からサンゴ礁への負荷軽減の具体的な対策の構築を目指して調査や研究、課題の抽出などを行ってきた。

 海の再生ネットワークよろんは、2015年に設立。環境省のモデル地域事業に当初から協力し、サンゴ礁の保全や調査を町と連携して取り組んできた。

 14年に設立した喜界島サンゴ礁科学研究所は、サンゴ礁研究に特化した日本で唯一の研究所。18年度から町との交流が始まり、22年度に「サンゴ塾春のサンゴ礁フィールドワーク」を与論島で開催している。

 今後の取り組みは、与論島周囲の造礁サンゴの海域調査やサンゴ群衆の分布を「見える化」し、サンゴ礁資源を保全していくための取り組みや協議の場での活用を図るとしている。環境学習においては、町で取り組んでいる海洋教育の充実に向けて、海域調査で得た情報をもとにした与論島サンゴ図鑑の作成やサザンクロスセンターのサンゴ関係展示エリアのリニューアルを検討していくほか、サンゴ礁を教材にした海洋教育プログラムの開発を行うという。

 役場多目的ホールで開催された締結式には関係者ら約20人が参加した。同町の田畑克夫町長は「協定を契機にしたさまざまな取り組みが奄美群島全域に普及し、さらなる連携による効果を期待している」とあいさつ。

 喜界島サンゴ礁科学研究所の渡邊剛理事長は「喜界島での取り組みを他の島々へも展開したいと思っていた。研究所にとってまたとない機会。100年続く包括連携にしたい」と述べた。

 海の再生ネットワークよろんの吉田勉理事長は「特にサンゴ礁リーフ内の生態に対する措置は急務だと考えている。未来を担う子どもたちへ素晴らしい自然環境を残せるよう取り組んでいきたい」と語った。