ハンドブックや報告書の活用状況などを報告した市生徒指導審議委員会
奄美市生徒指導審議委員会(委員長・有倉巳幸鹿児島大学教育学部長)の2023年度第2回会合が26日、同市役所であった。委員会設立以降3年の区切りを迎え、村田達治教育長からは「次年度からは地域の情勢と実態に即した取り組みに向け、地元委員による新体制で臨みたい」との申し出があり、審議の結果、委員らが承認した。
委員会は、15年に奄美市で中学1年生の男子生徒が不適切指導で自死した問題を受け、21年12月に発足。臨床心理士や弁護士、人権擁護委員、学校長ら委員6人で構成し、市内小中学校の生徒指導に関する取り組みや対策について議論し、多様な視点で助言してきた。
会合では、市教育委員会が再発防止のためにまとめた「生徒指導ハンドブック」や第三者調査委員会が作成した調査報告書の活用状況などについて事務局が報告。今年度は複数回を含む全ての学校で活用された。4月に教委内に開設した子ども・保護者の相談窓口については、1年間で6件の相談を受けた。事案については、学校に相談しづらい内容も多かったという。
委員らは、ハンドブックや報告書の活用が100%に達したことなどを踏まえて対策などを提案。「(今後は)いかに質を高めるか。継続が大切だ」「時間がたてばイレギュラー(な問題)も出てくる。忘れないうちにプッシュしていくことが大事だ」「(教職員研修は)一律より経験や状況に応じてカスタマイズを」「部活の外部指導者らにも伝える機会を設けるべき」といった意見が出た。
最後は、村田教育長が次年度の新体制について構想を言及。「目的は本事案を風化させず、再発防止の取り組みを充実させること。現場から多方面の意見を吸い上げ、取り組んでいきたい」と訴えた。
新たな委員の選考基準などは、今後検討していくという。