「徳之島の餅もらい」指定

県指定無形民俗文化財指定が答申された「徳之島の餅もらい行事」(東犬田布=伊仙町教委提供)

県文化財答申 無形民俗は9件目
「全体が参加者となって継承」

 県文化財保護審議会(本田道輝会長)は26日、「徳之島の餅もらい行事」を含む3件を県指定文化財とするよう県教育委員会に答申した。3件の内訳は有形1件、無形民俗2件で、今回指定を受けると、奄美群島では9件目の無形民俗文化財となる。

 答申されたのは、有形文化財(建造物)が南種子町の宝満(ほうまん)神社本殿1棟、無形民俗文化財は他に屋久島町の楠川(くすかわ)盆踊り。

 県教委文化財課によると、徳之島の餅もらい行事は徳之島町尾母(おも)・花徳(けどく)・手々、天城町西阿木名、伊仙町犬田布に所在。所有者は、尾母青年団・上花徳女性団体連絡協議会・前川女性団体連絡協議会・手々民芸保存会、西阿木名民謡保存会・西阿木名子ども会、東犬田布集落。

 餅もらい行事は、五穀豊穣(ほうじょう)や集落の繁栄を願い、唄い踊りながら集落内や家々を回り、餅や菓子をもらう行事。奄美群島以南に点在し、中でも徳之島ではアキムチ、ムチタボレ、イッサンサンなどさまざまな名称で各集落に行事が伝承。日程は各集落により異なり、1月、8~10月で日柄や各種行事と照らし合わせながら実施。稲作がサトウキビ栽培に変わり、次第に餅主体から菓子などに替わっていくように、時代に合わせて変化しながらも「集落住民全体が参加者となって継承されていることは重要」と評価している。また、個別の唄や踊りが芸能的な価値を有することに加え、集落住民の結び付きを深める行事となっており、地域的特徴を示す貴重な行事という。

 現在、奄美群島の県指定無形民俗文化財は、▽節田マンカイ(奄美市笠利町)▽佐仁の八月踊り(同)▽秋名のショチョガマおよ及びヒラセマンカイ(龍郷町秋名)▽徳之島町井之川夏目踊り▽目手久立踊(八月踊り)(伊仙町)▽沖永良部島のヤッコ踊り(和泊町、知名町)▽上平川の大蛇踊り(知名町)―の8件。