別れ惜しみ見送る

鹿児島港行きの定期フェリーを見送りに多くの人々が集まった(26日、奄美市の名瀬新港ターミナル)

今年も紙テープなし継続
名瀬港

 「友達いっぱいつくってね」「先生大好きだよ」――。異動や転校、進学など引っ越しのシーズンを迎える中、奄美市の名瀬港では連日、島を離れる恩師や同級生、同僚などを見送ろうと多くの人々であふれている。26日夜は、鹿児島行きの定期フェリーが出港。ターミナルデッキでは、別れを惜しむかのように船の光を追い、手を振り続ける大勢の人々が見られた。

 ターミナルビルでは、島内の小中学校や特別支援学校などがのぼりを立て、各校で校歌を歌う様子や激励の掛け声、手紙を送った後も言葉を交わし続けるなど、出港までの時間を惜しむかのように過ごす姿が数多く見られた。

 伊津部小を経て垂水市の小学校へ異動する中舘信吾教諭(26)は「初任地で分からないことがあり泣いたこともあったが、子どもたちが支えてくれた幸せな4年間だった」と振り返り笑顔。島外へ転校する奄美市名瀬出身の同小5年、安武凛音さん(11)は「とても悲しいけど、また戻って来たい」と話し、同級生たちは「いつか一緒にディズニーランドに行こうね」など再会への思いを伝えていた。

 朝日小の元校長、藤田柳生(りょうせい)さん(61)は再任用を経て大川小から家族がいる日置市の小学校へ異動。「奄美では人に恵まれた」と話す藤田さんの元には、朝日小ののぼりを手にした元同僚たちが駆け付けていた。

 同港は2020年から新型コロナウイルス感染拡大防止を理由に岸壁の立ち入りを禁止しており、今年も「安全確保と事故防止対策」として規制を継続。紙テープで岸壁と船をつなぐ光景は見られなくなった。

惜別・感謝のエール
亀徳新港約500人のエール

先生たちに感謝のエールを送った児童生徒たち=27日夕、徳之島町亀徳新港

 【徳之島】春の定期異動や若者らの卒業・島立ちのシーズンを迎え、徳之島町亀徳新港でも27日夕、お世話になった教職員たちの見送りに駆け付けた各校の児童生徒や保護者など約500人でごった返した。

 フェリー入港を待つ間、待合所や岸壁沿いでは、各校名ののぼり旗や「〇〇先生ありがとう!」などの感謝の言葉を手書きしたボードを掲げで個々に円陣を組み、各校の校歌の合唱も響いた。さまざまな形で感謝の言葉を送り合った。

 同町立亀津小から転出の中島貴子教諭(36)=鹿児島市出身、吹奏楽部副顧問=は、「この子らと5年間音楽もすることができて本当に幸せだった。温かい人たちや気候にも恵まれ本当に充実した5年間でした」と感無量の表情。

 教え子の1人・中山愛音さん(6年生)は「吹奏楽部ではいろんなことを教えていただいた。(16年ぶり出場の九州大会など)演奏会前はドキドキと緊張したが、先生は自分たちの良いところを褒めてくれて不安をなくしパワーをくれました」と話し、別れを惜しんでいた。