奄美市「ゼロカーボンシティ」を宣言

「ゼロカーボンシティ」を宣言する安田市長(28日、奄美市役所で)

群島6自治体目「ワンため ナンため マガぬため」
伝統知と科学知の融合目指す

奄美市は28日、2050年度までに市内の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を宣言した。同日あった大島支庁記者クラブ「くろしお会」との定例記者懇談会で安田壮平市長が発表。「世界自然遺産の豊かな自然と奄美の古き良き文化を大切にする伝統知と省エネ技術などの科学知を融合させた施策を展開し、脱炭素社会(カーボンニュートラル)の達成を目指したい」などと述べた。

「ゼロカーボンシティ」は、2050年までに二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指す自治体の決意表明。宣言は、環境省が全国の自治体に表明を呼び掛けている。昨年12月28日現在、全国の46都道府県、967自治体が宣言。県内では鹿児島県と28市町村が宣言している。奄美群島では知名町、瀬戸内町、和泊町、宇検村、喜界町(宣言順)が既に行っており、同市は6番目となる。

同市によると、13年度におよそ37万2900㌧だった市全体の二酸化炭素排出量を30年度に半減(18万6450㌧)、50年度に実質ゼロを目指すことを目標としている。

市は今年度、半減の目標期限である30年度までの7年間に取り組むべき施策などについてまとめた「地球温暖化対策法に基づく奄美市実行計画(区域施策編)」を策定。また、18年度に策定した自治体としての削減計画(事務事業編)についても30年度までに計画期間を変更するなど改定した。

今後、削減に向けた施策を本格化させる方針で、脱炭素の取り組みについて相談できる窓口「エネルギー事務所(仮称)」の設置や省エネ家電などの情報や知識を有する「省エネソムリエ(仮称)」の養成などに取り組む。

また、省エネ・再エネ推進モデル地域を指定し、集中的に設備導入を支援する方針で、建物の省エネ化や未利用地などへの太陽光発電設備の設置、充電設備の普及などを推進する。

市は宣言のスローガンを「脱炭素 ワン(自分)ため ナン(みんな)ため マガ(孫)ぬため」としており、安田市長は「奄美に古くからある知恵を生かしながら、行政、市民、事業者が一体となって脱炭素に取り組む機運を醸成し目標達成を目指したい」などと述べた。