生物多様性を育む森林でひっそりと開花した「イルカンダ」の花=29日、徳之島町井之川
ひっそりと〝森のシャンデリア〟 徳之島
【徳之島】「幻の花」とも称される「イルカンダ(ウジルカンダ)」の花が、今春もひっそりと豪華に開花している。世界自然遺産登録域を含む徳之島の最高峰「井之川岳」(645㍍)に連なる徳之島町井之川地区の森林。ブドウの巨峰のような形と大きさの赤紫色の花が緑陰に下垂し、まるで〝森のシャンデリア〟の趣きだ。
まめ科の大型のつる性木本。日本では琉球列島(奄美大島、加計呂麻島、徳之島、沖永良部島、伊平屋島、沖縄島)や馬毛島、大分県蒲江町などに分布するという。徳之島での呼称は、沖縄同様「イルカンダ」(イルは色、カンダはカズラの意)。分布域こそ広いが自生地は極めて限定的で、「幻の花」とも称される。
徳之島町井之川地区のくだんの自生地は、数年前、松くい虫被害に遭ったリュウキュウマツの倒木事故防止など安全確認中だった自然保護団体が偶然確認。延長約70㍍間の農道の頭上に点在し、同島最大規模の自生地の可能性も。見頃は5月中旬頃までとされる。