改正奄振法が成立

全会一致で可決された本会議の様子(インターネット中継より)

沖縄との連携、移住・定住促進を支援
参院本会議で可決

 【東京】奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案が29日、参議院で可決、成立した。いずれも今年度末(今月31日)で期限切れを迎えることから、新たな法の有効期限は2028年度まで5年間延長された。奄美群島の自立的発展、住民の生活の安定を図ることを目指すほか、移住の促進、沖縄との連携が追加された。地元関係者からも喜びの声が寄せられた。

 同日午前あった参議院国土交通委員会(青木愛委員長)の後、夕方開催された参議院本会議で青木委員長が法案の内容や審議経過を報告後、採決され全会一致で可決した。

 同法の成立を受け、窪田哲也参院議員(公明党)は「地元の要望が盛り込まれ、充実した中身となった。(奄美群島推進を担う)ティダ委員会委員長としても喜ばしい」とした上で「沖縄との連携は、奄美群島発展の大きな起爆剤になるだろう。補助金を活用して医療、福祉、教育など生活面の質向上につなげてほしい。また、各自治体の取り組みを後押しできる環境が整ってきている。課題もあるが、しっかりと対応していく」と語った。

 塩田康一知事は「改正奄振法においては、昨年度県が実施した奄振総合調査を踏まえ、関係国会議員や県議会、地元市町村等と一体となって国に要望した『沖縄との連携』をはじめとする内容が反映されており、奄美群島の自立的発展を図る上で、大変意義深い。改正法に基づき、速やかに新たな奄振計画を策定し、着実な事業の推進に努め、我が国の地域振興の先進地域となるよう、奄美群島の振興開発に一層全力を尽くす」と決意を示した。

 奄美群島広域事務組合管理者の安田壮平・奄美市長は「地元の実情や声を着実に受け止めていただいた。奄美群島の振興を力強く後押しする奄振法が整い、大きな喜びで身が引き締まる思いだ。奄美群島成長戦略ビジョン2033の実現に向けて各種施策に取り組んでいく」と力を込めた。また、大島郡町村会長の高岡秀規・徳之島町長は「農業の振興や移住定住の促進、さらには沖縄との連携にかかわる取り組みへの支援など、地元の要望を最大限反映していただいた」と喜びのコメントを寄せた。

 国土交通委員会は28日にもあったが、予算委員会が遅れた等で、斉藤鉄夫国交相による趣旨説明だけで質疑は29日に見送られていた。同日に国土交通委員会、本会議というのは異例のことだった。24年度の当初予算額(国費ベース)は、公共・非公共を合わせ、205億6400万円となっている。