一村美術館 企画展始まる

大型タペストリーが目を引く「田中一村終焉の家と一村キッズクラブ」展

没後「終焉の家」に焦点

 奄美大島の自然を色彩豊かに描いた日本画家・田中一村が最後の日々を過ごした家に焦点を当てた企画展「田中一村終焉(しゅうえん)の家と一村キッズクラブ」(県奄美パーク・田中一村記念美術館主催)が30日、奄美市笠利町の同館企画展示室で始まった。一村没後に「終焉の家」がたどってきた変遷や歴史、人々の周辺での活動などを写真やパネルで展示している。5月6日まで。

 終焉の家は、一村が亡くなるまでの11日間を過ごした住居。1958年に奄美大島に移住し16年間暮らした有屋町から移り住み、当時は奄美和光園の近くの田畑が広がる場所に建てられていた。

 77年の没後は、地元有志の一村会らが建物の保存や移転に尽くしてきた。「終焉の地」「有屋橋のたもと」の2回の移設を経て、98年に現在の敷地に設置。島を代表する観光地として多くの人が訪れている。

 企画展では、終焉の家の足跡をたどる年表に、当時の資料や新聞記事を展示したほか、同家を拠点に継承活動やボランティアに取り組む一村キッズクラブや一村会の活動の様子も合わせて紹介した。会場には終焉の家を写した巨大なタペストリーを設置。奄美時代の一村を撮影したことで知られる田辺周一氏の写真も花を添えている。

 同館の上原直哉学芸専門員は「作品展示はないが、終焉の家に一村が暮らしていたことを知り、一村が奄美でしたことを再発見してほしい」と呼び掛けている。

 開館時間は午前9時~午後6時で入場無料。現在開催中の常設展Ⅰ期(有料)は7月16日まで。