上空を飛来するサシバを観察する参加者たち(31日、奄美市名瀬の知名瀬漁港)
奄美の自然を考える会(森山力藏会長)が主催する「渡り直前!サシバ観察会」が31日、奄美市名瀬の知名瀬漁港であった。天候にも恵まれ、島内外から家族連れなど約20人が参加。山沿いを舞うサシバのほか、ヒヨドリの群れやセイタカシギの渡り、チョウゲンボウ(ハヤブサ科)も観察。参加者たちは奄美の自然の豊かさを、堪能した様子だった。
来年秋、絶滅危機にあるサシバの保全に向けたイベント「国際サシバサミット」が越冬地である宇検村で開かれることを受け、機運醸成を目的に観察会を実施。昨年秋に続く2回目で、宇検村生勝出身の野鳥写真家、与名正三さん(72)が案内役を務めた。
サシバは猛禽類でタカの仲間。本土で繁殖し、秋頃越冬のためトカラ列島以南へと渡り、春は逆のルートで本土へと向かう。2021年、自然保護団体などによる調査では、奄美大島に飛来するサシバは推定で約2000羽と判明している。
この日は、50羽近くの群れが参加者らの上空を舞うなど、計約200羽近くのサシバが飛来。「ピックイー」との鳴き声は聞こえなかったが、与名さんは「縄張り争いの威嚇の必要がないから」と春に姿を見せるサシバたちの特徴を説明した。
観察後は、与名さんが近年撮影したサシバの写真パネルを基に生態を解説。「奄美が世界自然遺産登録された理由として、サシバは格好の存在」と、生態系の頂点にいる猛禽類が飛来する意味を参加者たちに伝えた。
群馬県前橋市から家族と来島した染愛美さん(8)は「奄美でしか見られない鳥たちを観察したくて参加した。サシバは知っていたが、たくさん飛ぶ姿を見たのは初めてでうれしかった」と話した。
次回の観察会は秋頃、宇検村での開催を予定している。