ピーチ関西線、再び運休

ピーチ・アビエーションが奄美間で運航している関西線は再び運休となった(関西空港での資料写真)

奄美空港での利用窓口となるピーチカウンター(関西線が運休となった3月30日撮影)

4~5月 宿泊予約「昨年より弱い」
「継続運航こそ安定利用」

 LCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションは、奄美空港発着の2路線のうち関西線を3月30日から、再び期間運休している。3か月間に及び、観光関係者からは「継続的に運航してこそ安定利用につながる。4~5月の宿泊客の予約は昨年に比べて弱く、書き入れ時のGW(大型連休)に関西からのLCC便が利用できないのは大きな痛手」と厳しい声が上がる。

 関西線は昨年秋に発表された冬季ダイヤから期間運休に突入。2023年10月末~24年2月8日まで運休が続き、同9日~3月29日までは週3往復で運航が再開されたが、再び運休している。7月1日~9月30日の夏場は週7往復の毎日運航に戻る見通し。

 成田線は今年に入り、1月11日~2月29日は週5往復と減便。3月1~30日は毎日運航に戻ったが、同31日~5月6日は週4往復(金、土、日、月)運航に減便されている。当初、GW後から6月末は運休が発表されたものの見直され、週4便運航で継続される。見直しは地元自治体などの要望によって実現したもの。

 県交通政策課によると、今年1月下旬、奄美大島の5市町村と商工、観光団体の代表らが大阪にあるピーチ本社を訪れ、路線の安定運航を要請したことを受けて県はピーチに対し、地元自治体からの要請に対する配慮を求めた。

 LCCの場合、運賃が格安の中で収益を確保するため、限られた乗務員や機材を需要の高い路線に充てている。インバウンド(訪日外国人観光客)需要の拡大により国際線の拡充が図られると、国内線への人員や機材配置の難しさから減便・運休を選択。一方で国内線でも関西―札幌、成田―沖縄など人気から需要がある路線は増便措置がとられている。奄美2路線の需要創出に向けては奄振交付金を活用。奄美群島誘客周遊促進事業により2路線認知度向上のためのプロモーション支援が行われており、路線の維持拡充へさらに強化が求められそう。

 奄美市でホテルやレンタカー事業を営む向井純一さん(47)は「LCC路線の運休・減便は、若い人たちの入込に深刻な影響を与えている。春休みのこの時期は、大学生の卒業旅行シーズン。宿泊施設では貸別荘の利用が好まれるが、レンタカーを含めて今年は低調。毎日の運航が継続しなければ安定利用につながらない。ビジネス型だけでなくリゾート型を含めて島内の宿泊施設が増えている中で入込客を分け合っているだけに、その数の減がさらに続くのではないか。飲食店などを含めて観光関係業者は増えているのに入込客が減る。これでは経営できないだけに、観光業の現状を行政など関係機関は理解していただきたい」と訴える。運休が回避された成田線については「始発便と早朝運航のため、利用するには空港周辺のホテルに前泊しなければならい。『宿泊費で1万円ほどかかる。片道1万円の航空チケットが購入できたとしても前泊費用込みだと奄美間は3万円ほどの負担が必要』として奄美行きを断念する声も聞く。利便性の悪さからLCCの魅力が低下しており、成田発の時間帯を改善してほしい」と指摘する。