旧オオギヤ、再び「開店」

「オオギヤ」旧店舗でボランティア活動をする(右から)元店主の勇きくのさん、大迫光子さん、金井百合子さん、森田アツ子さん(3月30日、奄美市名瀬)

期間限定の開店を果たしたシューズショップ「オオギヤ」旧店舗

名瀬中央通り 期間限定でボランティア支援
新たな「地域交流」の場へ

 2022年末、多くの地元住民らに惜しまれながら閉店した、奄美市の名瀬中央通りアーケードで70年余り営業を続けたシューズショップ「オオギヤ」の旧店舗が、ボランティアを目的としたリサイクル品を提供する場として、昨年11月から装いも新たに「開店」を果たしている。元店主の勇きくのさんは「店舗の売却が決まるまでの期間限定の提供だが、商店街通りの活性化のためにも」と店を開放。ボランティア活動とともに、新たな地域住民の集いの場として、かつての活気を見せている。

 「オオギヤ」は日本復帰前の名瀬地区で開店した老舗靴屋で、当時は「げた屋」としてスタート。復帰後もげたや草履など和装品を扱うほか、革靴やブーツ、地元学校の指定シューズの取り扱いを開始。「高度成長期、大島紬のブームなどもあって、島内外の大勢の方に足を運んでいただいた」と勇さんは振り返る。

 そんな地元で愛され続けた老舗店も時代、環境の変化とともに22年夏、閉店を決定。しかし、同年12月末の店じまいまでの2週間、人道支援を目的に自宅ガレージでリサイクル品を販売していた同市名瀬の大迫光子さんに店奥の一角を提供。その後も閉店を惜しむ、かつての利用客たちから店舗再開を望む声もあり、今回、再びリサイクル品を扱うボランティアの場として、約1年ぶりにシャッターが上げられた。

 店内は多くの地元住民らが買い求めた、数々の履物関係の商品は姿を消しているが、大島紬をはじめ衣類やぬいぐるみ、置物のほか食器など日常品を多数出品。勇さん、大迫さんほか、地元名瀬在住の金井百合子さん、森田アツ子さんの4人を中心に運営される中、店奥でお茶を楽しむ来店者や、大島紬の着付けを教える近隣住民の姿もあり、新たな「地域交流の場」の様相を呈している。

 収益の一部は、能登半島地震被災地の支援に向けて寄付されており、3月以降の収益分からは「奄美群島内の子どもたちの支援につなげたい」(大迫さん)としている。

 開店は午前11時から午後5時まで(日曜日は休み)。

 問い合わせは大迫さん電話090・9572・7258へ。