名瀬徳洲会病院〝院内水族館〟オープン

ザトウクジラの壁面アートを完成させた鍵井靖章さん(3日、名瀬徳洲会病院)
〝空を飛ぶ〟魚たち。鍵井さんが見てきた海の世界が再現された

ジンベイザメが空を飛んだ!
水中写真家・鍵井靖章さん

名瀬徳洲会病院に3日、水中写真家・鍵井靖章さん(53)が手掛けたシールアートの「水族館」がお目見えし、患者らの目を楽しませている。同病院1階ロビーの壁面には、3㍍近くある巨大な2頭のザトウクジラを中心にイルカやギンガメアジの群れが泳ぎ、世界の海を見てきた鍵井さんの〝創造の海〟が再現されていた。

神奈川県鎌倉市在住の鍵井さんは、1993年からオーストラリアやモルディブを拠点に活動。2011年の東日本大震災以降は三陸の海に13年間潜り続け、海洋環境の変化を記録し続けている。1月に発生した能登半島沖地震でも、3月11日から4日間、石川県珠洲市の海に潜り、海底隆起の調査を行っている。

鍵井さんは、全国の老人保健施設や子どもホスピスなどに「水族館」をつくる活動を続けており、今回、同病院の医師との個人的なつながりから実現した。

ロビー壁面横の大きなガラス面には、ジンベイザメの周りにハタタテダイなどの熱帯魚などが描かれている。この日は、新緑の森や白い雲と相まって、まるで魚たちが空を飛び交うように見えていた。

2日から始められた制作作業は20時間以上にわたった。足場を組み、自ら制作に加わったという鍵井さん。この日は、2階産婦人科外来待合室の廊下側の壁画を完成させた。

スマートフォンで写真を撮っていた榮美奈子さん(54)は「まるで水族館」と驚いた様子。「子どもが喜びそう」と話した。

同病院の峰元達也・地域医療連携室事務次長は「快晴の空をバックに魚たちを観賞するのもいいが、暗くなると、外から見てもきれい。個人的には夕日に照らされる光景に期待している。まさに〝院内水族館〟。診療を待つ時間を楽しんでほしい」と喜びを表した。

鍵井さんは「私が知っている海中世界を見てもらいたい。海は人を癒す力を持っている。病院も少し開放された空間であっていいんじゃないだろうか。ちょっとした海のテーマパークができたと思って遊びにきてほしい」と語った。