CG病 徳之島移動規制、除外へ

徳之島3町で繰り広げられたカンキツグリーニング病の駆除作業(資料写真)


昨年度、国により行われた徳之島での駆除確認調査

今月下旬にも省令改正予定
罹病樹確認されず「根絶判断が妥当」 農水省

 農林水産省は、かんきつ類に大きな被害を与えるカンキツグリーニング病(CG病)の徳之島での駆除確認調査を昨年5~10月に実施した。その結果、感染を示す罹病(りびょう)樹は確認されず、今年1月の検討会で専門家から「徳之島のCG病菌は根絶したと判断することが妥当」との見解が示された。同省は今月下旬にも省令を改正、CG病の移動規制から徳之島を除外する見通しだ。

 同省によると、徳之島では2003年にCG病の発生が確認され、07年から移動規制を開始。その後、鹿児島県による根絶防除が開始され、18年に感染樹ゼロを達成。以降、22年まで防除効果(根絶)確認調査を実施、感染樹ゼロが維持されていることを確認した。

 県の徳之島での調査は4年間(防除確認調査を3年間、残り1年間は国の調査に向けた準備)行われた。島内を9ブロックに分けての調査で、対象となったかんきつ樹木は延べ3万8197本、抽出数2903本。CG病はタンカンなどが栽培されている経済園では感染が確認されておらず、庭先などに植栽されている在来のかんきつ等で過去(県調査の前)に陽性の樹木が確認されたことから、県や地元自治体は専従の防除員を配置し、地元住民の協力によって調査に支障のない環境が整えられた。

 こうした県の調査を受けて23年度、同省門司植物防疫所による駆除確認調査が進められた。植物防疫検討会での報告によると、全数調査、抽出調査及び遺伝子検定を実施(植物防疫官、植物防疫員、調査補助者の延べ224人が従事)。目視調査により、過去に感染樹が確認された地点から半径500㍍範囲内にある全てのかんきつ樹(3539本)について、疑似・類似症状が認められた樹木から分析対象とする試料を採取(全数調査)。また、感染樹から半径500㍍範囲外の全てのかんきつ樹木から、8本に1本の割合でサンプリングを行った樹木及び新たに確認されたかんきつ樹木(計9607本)に対して目視調査を行い、疑似・類似症状が認められた樹木から試料を採取(抽出調査)。計1万3146本の樹木に対し目視調査を行い、計1292本の樹木から試料を採取した。

 感染が疑われた1292試料について遺伝子検定を行った結果、全ての試料が陰性に。「本調査で、徳之島においてCG病が検出されない状態が5年以上経過。徳之島において本病菌は根絶されたものと考えられる」と報告。1月25日にあった検討会において、植物病理学等の専門家から、駆除確認調査結果を踏まえて検討した結果、「徳之島のCG病菌は根絶したと判断することが妥当」との見解が示された。

 同省によると、CG病に関する移動規制は、現行の移動規制線(奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島以南の北緯27度58分)を維持した上で、徳之島の除外を検討。こうした省令改正方針に対し、意見公募のパブリックコメントは実施済みで、今月下旬にも省令が改正される見通し。省令が改正されると、喜界島に続いての根絶宣言となる。生産者は安心してタンカンなどのかんきつ栽培が可能になるほか、貴重な固有種である在来かんきつの遺伝子も保全されることになる。

メモ

 カンキツグリーニング病 主にかんきつを宿主とするミカンキジラミによって媒介される細菌病。感染した樹木は樹勢が低下し、数年後には枯死する。奄美群島では2002年4月に与論島で初めて確認されて以降、奄美大島を除く沖永良部島、徳之島、喜界島でも感染樹が相次いで確認された。4島のうち、03年に感染樹が見つかった喜界島は12年に根絶宣言された。