奄美大島周辺海域で確認されたザトウクジラの母子(興克樹さん提供)
奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は5日、2024年シーズン(1~3月)の奄美大島周辺海域でのザトウクジラ出現状況(23年11~12月含む)とホエールウォッチングの参加者数をまとめ公表した。
周辺海域における今シーズンの発見頭数は3月末現在で、933群1634頭で昨シーズン比96・2%と微減(23年は5月12日までの調査頭数=999群1696頭)。
初出現は23年11月24日の奄美市住用町城海岸沖。1月中旬から増え始め3月中旬まで出現が多い状態が続いた。ピークは2月中旬だった。
1群の平均頭数は1・75頭。群構成では、母子群が過去最多の300群出現し、全体の32・2%(23年=204群、20・4%)を占めた。過去最長となる44日間滞留した母子群も確認された。
発見位置情報を分析した結果、奄美大島を島沿いに移動していることや、南部島嶼(とうしょ)部(大島海峡、請島水道、与路島水道)で母子群の滞留が多いことが明らかになった。
興会長は「季節風が当たりにくく、穏やかな環境が子育てに向いている」と分析。
個体識別調査では、尾びれID写真が約400頭分(速報値)得られ、今後、北太平洋全域での照合に活用するという。
ホエールスイムは275群(全体の29・5%)で実施。休息や授乳時間が必要な母子群については、今シーズンからスイム回数を3回までに制限した。
同協会加盟のホエールウォッチング事業者は14あるが、今シーズンの参加者数は7325人。このうち、ホエールウォッチングのみの参加者は3982人と昨シーズン比140・8%に急増した。スイムに参加した人は3343人で昨シーズン比97・8%と微減。
興会長は「ストレスを与えないため参加人数を制限している。スイムのリピーターは増えており、クジラにストレスを与えない環境でのアクティビティが実現できている」と評価した。