山田長満奨学会で「奄美群島会」創立

創立者の山田長満さんを囲み、「奄美群島会創立」に参加したメンバーたち

 

 

奨学生が初顔合わせ
古里を思う「魂にあふれている」

 

 【東京】世田谷区成城の「公益財団法人山田長満(おさみつ)奨学会」がこのほど、「山田学友会・奄美群島会」を創立し、対象の奨学生が初顔合わせをした。30年以上の歴史の中では初めてのこと。設立者は「古里を思う魂にあふれている。将来有望です」と語っている。

 同奨学会は世界平和と経済成長に貢献する人を育成し、人々の幸福に寄与することを目的として1989(平成元)年10月1日に徳之島出身の山田長満さん(76)によって創設された。今回、初めて「本人または父母が奄美群島出身者」との応募資格に加えて書類選考し、面接、小論文選考をくぐり抜けた学生が集った。

 第35期生として里山七海さん(昭和音楽大学大学院)=年齢、学部学科は省略、以下同=、重村つきさん(東海大学大学院)、成瀬茉倫さん(慶應義塾大学)、満園かりなさん(千葉大学)、保岡海輝さん(東京都立大学)、そして34期生の蘇畑晴斗さん(専修大学)の6人によって「奄美群島会」が結成されたもの。

 参加者は、自己紹介を兼ねて小論文のテーマ「将来について」を説明。「ピアノの魅力を島に広げたい」(里山さん)、「群島における流刑をまとめたい」(重村さん)、「世界各地の奄美コミュニティーでシマ唄の研究をしたい」(成瀬さん)、「父の入院を機に産業保健師を目指している」(満園さん)、「奄美のために哲学を極めたい」(保岡さん)、「ハワイと奄美の歴史を研究する」(蘇畑さん)。それぞれ目を輝かせて発表していた。

 また、奄美の魅力については「豊かな自然」とする一方で「おおらかで、結(ゆい)の精神に満ちている」として人そのものであるとの意見や「いい意味で何もないところ」が魅力だとする声もあった。

 奨学金の期間は12か月(2024年4月~25年3月31日)で月額12万円を給付。毎月第2金曜日に同財団で開催される交流会で、奨学生に現金で支給される。「古里の風景や思い出は尽きないが、何でも助け合ってきた『結の精神』が僕を支えている」と語る山田さんは「他の奨学生との意見交換を通じて、さらに勉学に励んでもらいたいのです」と現物支給の狙いを明かす。今期は、能登半島の出身者10人を含めて計25人に支給される。