奄美とアイヌのコラボで観客魅了

重厚なコットンクラブの会場に、奄美のシマ唄とアイヌの歌が流れた。歌の解説も加えた朝崎さんのトークは会場を沸かせた

悠久の歌に思いを乗せて
朝崎さん声掛けで実現

 【東京】シマウタ唄者の朝崎郁恵さんとアイヌの歌を歌うグループがコラボしたAmamiaynu(アマミアイヌ)のライブが6日、東京丸の内のコットンクラブで開催された。暮らしに寄り添い、その土地に代々受け継がれてきた歌を互いに歌い合うライブは、現代社会が置き忘れてきた何かを見せてくれた。

 2003年アイヌの伝統的歌手・安東ウメ子さんと同じステージに立った朝崎さんは、アイヌの歌にシマ唄に共通のものを感じた。朝崎さんの声掛けで2018年、コラボレーション・プロジェクトがスタート、CDが制作された。

 4回目のライブとなった今回は、1部に子どもたちも参加し、アイヌの楽器ムックリを一緒に奏でるワークショップも開催された。

 2部ではお互いの歌を重ね合わせて歌い合った。シマ唄でイキャビキを、アイヌ歌はヤイサマ(脱穀の歌)を。チジュリャハマにはカピウポポ(ホオジロカモメの歌)を合わせて。チジュリャハマは親が子の独り立ちを促す歌、カピウポポは2羽の鳥の会話で、母親鳥がどんなことをしても子どもを育てるという内容の歌。

 この企画をプロデュースしたOKIさんの奏でるトンコリが、シマ唄に寄り添い、輪唱が多用されるアイヌの歌がシマ唄に重なり歌われた。楽器はチヂンと、トンコリと、ムックリと皮を張ったシンプルなドラムと手拍子のみ。

 「楽器のない頃の音、雨音、川の流れる音で歌っていた。そして、どちらも神様に向かって歌っている」と朝崎さんからの話があった。詰めかけた観客らは次々と繰り出される歌に耳を傾け、悠久の時に身を委ね楽しんでいた。

 アイヌからは、カラフト・アイヌの伝統弦楽器トンコリ奏者でプロデューサーのOKIさん、アイヌの伝統歌ウポポの再生と伝承をテーマに活動するMAREWREWのメンバーRekpoさん、アイヌの姉妹ユニットKapiw&Apappoさんら4人が参加している。

 アンコールに応えて、朝崎さんが「いきゅんな加那」を歌い、会場から盛大な拍手が送られた。