医療提供ジェット自主運航

華やかに存在感を放っていた徳洲会グループ自主運航のホンダジェット「徳洲ジェット」=10日、徳之島空港

ホンダジェット活用 全国初、移動効率化
徳洲会グループ

【徳之島】医療法人徳洲会・徳洲会グループ(東上震一理事長)は今年2月、大阪府の八尾空港を拠点に小型ジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」の自主運航を開始した。世界が注目する同機を日本で初めて医療提供用に活用し、離島の多い鹿児島県内をはじめ北海道から沖縄県に至る同医療グループへの専門医ら医療チーム移動の効率化を図っている。

徳洲会グループの広報や機関紙などによると、同グループの医師らスタッフの移動手段はこれまで、民間の定期旅客機や軽飛行機「徳洲号」が主だった。しかし、定期便は空席状況や便数、運航時間などの制約でスムーズな移動が難しかった。自主および委託運航の軽飛行機(第7代まで更新)についても鹿児島県―沖縄県間だと奄美群島の島伝い運航に限られていたという。

導入したホンダジェット「徳洲ジェット」は全長12・99㍍。操縦士ら乗員2人の場合は乗客5人まで搭乗が可能。最大巡行時速は782㌔、最大運用高度1万3106㍍、航続距離2264㌔。空気抵抗を抑え速度と燃費を向上させ、騒音や振動の低減を図った機体デザインが特長で、トイレも完備している。座席には折り畳み式テーブルも内蔵し、納入実績で2021年まで5年連続世界首位の小型ビジネスジェットだ。

専門医療を求めて本土に渡る離島・へき地の患者や家族などの経済的・精神的負担の軽減も図るため、22年5月から試験運用を始めていた。医師が大阪から徳之島に移動して手術を行う場合、通常の定期便だと鹿児島空港を経由するため前日までの移動が必要だが、「徳洲ジェット」だと約2時間で移動できる。時間的ロスがない上に医療チームの「日帰りも可能」。導入を決め、今年2月1日から自主運航を始めた。

東上理事長は「小型ジェット機を活用した医療提供の試みは、日本では徳洲会独自のもの。医療者の移動だけでなく、緊急時の患者搬送も視野に入れて活用法を練りたい」。また、奄美群島内の同グループ病院長は「人手や経験が不足する離島にはとても心強い」「都市部と離島・へき地間に横たわる溝を埋める夢のような武器を手に入れることができた。島民の皆さんとその夢を分かち合えることがうれしい」とコメントしている。