奄美の海「魅力」再認識

奄美中央ロータリークラブ創立45周年記念で開催された講演会「世界に繋がる奄美の海洋生物」(13日、奄美市名瀬)

奄美海洋生物研究会会長の興克樹さん

奄美中央RC45周年記念
興克樹さん講演

奄美中央ロータリークラブ(上堀内ちあき会長、会員65人)=RC=の創立45周年記念講演会「世界に繋(つな)がる奄美の海洋生物」が13日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。奄美海洋生物研究会、奄美クジラ・イルカ協会の各会長を務める興克樹さんが講話。奄美近海に生息するザトウクジラやウミガメ、イルカなどの生態や現状を解説し、奄美の海の魅力、保全への取り組みを紹介した。

講演会は、奄美中央RC45周年記念式典後に開催。約200人が来場した。

興さんは奄美周辺海域で発見されるザトウクジラについて、2024年は1634頭で、母子群が3割を占め、ともに増加傾向であると報告。ホエールウォッチング参加者も同年、過去最高の7325人を記録する中、スイム時の自主ルールを設けるなど「共生」の取り組みを伝えた。

また、尾びれの形状や模様など基にした個別識別調査による事例を報告。同じ個体が奄美やハワイ、摂餌地域のベーリング海峡で確認されたことを説明。繁殖地域がほぼ日本であるザトウクジラを指し、「奄美生まれのしまっちゅが国境を越えお邪魔している」と、世界の海とのつながりを分かりやすく表現した。

ウミガメについては、奄美群島での産卵回数が12年の1081回に対し23年は260回、特にアカウミガメが減少傾向にあると指摘。県が保護条例を設ける中、喜界島でハワイのウミガメに見られる「バスキング」(日光浴)に似た事例があり、地域資源への期待を述べた。

ほかにも厳正化されたハワイの海洋生物への保護条例の紹介や、ドルフィンスイムで観察するミナミバンドウイルカに対し、地域個体群であることから名前を付けるなど観光・保全両面に努めた活動内容を報告。今後は「仲間、各団体、地域の方々と海洋生物の保全と利用を進めていきたい」と語った。