安田絹枝さん(左から2人目)の話に身を乗り出して聴き入る参加者(20日、笠利町いきいき健康課・調理室)
奄美市笠利国保診療所と訪問看護ステーションふれ愛の郷の職員ら有志で構成するボランティアグループ「笠利さばくり隊」は20日、第7回さばくり隊活動をした。今回の活動のメーンは「おばぁのお料理教室」。地元の高齢者3人が、自慢の郷土料理3品を指導した。毎回実施している「買い物弱者のための買い物支援」や家具の片づけも行われ、50人分ずつ作られた料理が作業を終えた隊員らに振る舞われた。
笠利町いきいき健康課・調理室であった料理教室には9人が参加。ボランティアを含む約20人でにぎやかに料理に取り組んだ。
日髙スミエさん(81)=笠利地区=が「かしゃ餅」(よもぎ餅)、安田絹枝さん(79)=佐仁地区=が「わん骨」(ブタ骨煮)、恵知津子さん(71)=赤木名地区=が「黒糖豆」(豆菓子)を担当、各地区、各家庭で受け継がれてきた味を伝えた。
血抜きから下ゆでまで前処理に2日以上かかるという「わん骨」は、安田さんが事前に大鍋に準備。盛り付けに添えるアザミも、旬の2月にとって塩漬けされたものが用意された。
安田さんは「昔はアザミの葉は手でむいた」と話し、朝とってきたというトゲだらけの葉をあっという間にむしってみせ、若い参加者を驚かせていた。
レシピを書いた紙などはなく、身を乗り出してスマホでメモを取っていた中江真紀さん(43)は「料理は義母にお世話になってばかりなので、家族に作ってあげたい」と真剣な表情で学んでいた。
龍郷町の高齢者施設に勤務する當田大地さん(33)は「調理レクリエーションの時間があるので、利用者と一緒に作ってみたい」と話した。
初めて人に教えるという日髙さんは「シマの伝統料理の継承に少しでも力になれた」、恵さんは「黒糖豆の作り方は人によって細かいこだわりがある。私のやり方で大丈夫かなという思いはあるが、ひと役買えてよかった」とにこやかな表情だった。
同隊の當田直哉さん(44)は「料理が上手な地域のおばぁに教えてもらうことで、講師役の高齢者の社会参加になり、自己肯定感につながれば」と企画の意図を語った。