カンキツグリーニング病(CG病)防除の自助努力に力を合わせたタンカン生産者たち=2003年5月当時、徳之島町
【徳之島】かんきつ類の枯死など被害をもたらす重要病害のカンキツグリーニング病(CG病)。地元関係機関や生産者が連携した約20年間の地道な取り組みもあり、農林水産省は徳之島での根絶を判断、22日付で省令改正した。タンカン栽培が盛んな同島の関係者らは「吉報」としてブランド産地化への生産拡大にも期待を寄せ、溜飲(りゅういん)を下げた。
徳之島内では2003年にCG病の侵入・発生を確認。地元サイドでは同年5月、島内3町のタンカン生産農家の代表らが3町長らに「21世紀に生き残れる作物タンカンを守るためのCG病まん延防止対策」を陳情。①徹底した実態調査と検査システムの確立②被害樹の除去、焼却など対策の徹底③媒介虫ミカンキジラミが好み大発生するゲッキツの伐採とキジラミの防除など予算措置。県当局にも働き掛けてほしい―など陳情。3町のタンカン生産組織は6月を「CG病撲滅月間」と位置付け、足並みをそろえた一斉防除にも取り組んだ経緯がある。
キジラミが好む寄生植物のゲッキツの一斉防除をはじめ個々の果樹園の監視・報告など自助努力も続けてきた徳之島町柑橘生産組合(組合員102人、タンカン栽培面積約78㌶)。是枝純一前組合長(75)=現在・書記会計=は「産地を守るためCG病やミカンコミバエ対策にも組合員を挙げて協力。撲滅はブランド産地化へのイメージを高めることにも。国県については引き続き再発防止に協力してほしい」とも。
また、徳之島町農林水産課の高城博也課長(59)は「本町内では14年にCG病発生を初確認。感染樹及び周辺樹の伐採と焼却処理などを実施した。農家にとっては大事に育てた成木を処分することは、自分の身を切る思いだったと思う」と述懐。「しかしCG病の根絶は町や農家にとっては吉報だ。農産物の主力の一つタンカンをはじめ今後、かんきつ類を安心してさらに生産拡大できる」と期待を寄せた。