小里総理補佐官 徳之島で車座対話

小里泰弘総理補佐官が徳之島の農業・観光分野の課題を聞いた「車座対話」=1日、徳之島町役場会議室

小里泰弘総理補佐官

農業・観光の共通課題「離島運賃」
「深刻な問題と再認識」

 【徳之島】内閣総理大臣補佐官(農山漁村地域活性化担当)の小里泰弘衆院議員(65)の徳之島の農業・観光分野の視察及び関係者代表との「車座対話」が1日あった。地元側は飼料・肥料など農業資材高騰、物価スライドもなく据え置かれた基幹作物サトウキビの生産者価格(国交付金)の現状、観光振興両面の「共通課題」の離島運賃高なども切実に提起。離島運賃問題に小里氏は「古くて新しい深刻な課題と再認識。問題提起して対応した」とも述べた。2日は奄美大島を視察する。

 小里総理補佐官は霧島市出身、衆院議員6回当選(鹿児島4、3区を経て比例九州ブロック)。農水・環境・内閣府各副大臣や自民党副幹事長など歴任。衆議院災害対策特別委員長、昨年年9月の岸田第2次改造内閣で総理補佐に就任。全国各地で車座対話を開いている。

 徳之島には国土交通省の筒井智紀国土政策局審議官や農林水産省など関係者が随行。午前9時過ぎ天城町の獣肉加工施設、闘牛大会など「あまぎ自然と伝統文化体験館」(建設中)、島マンゴー園、伊仙町では徳之島コーヒー生産者会や「とくのしま伊仙まちづくり協同組合」を視察。同巡視の途中に徳之島町役場で、農業・観光分野と行政代表(高岡秀規町長)ら6人とひざを交え車座対話した。

 基幹品目のキビ作農業に関し農家代表は「2万円余(㌧)の生産者手取りは数十年間ほぼ変わらず、モノ(生産資材)は上昇。国施策の甘味資源作物だが、このままだと生産者はどんどん減る。時代の物価に合わせて国交付金も引き上げるべき」。

 輸送コスト問題では「(農業資材は)鹿児島までは同条件だが、いったん船に積むとキロあたり20~30円の負担増が生じている」。観光客や出身者帰省など交流人口増にも「最大のネックは航空運賃」と改めて提起。高岡町長は「運賃コストの問題は全国の離島全体に言えることだが、南西諸島の国境離島を守るためにも国策として取り組んでほしい」とも要望した。

 小里総理補佐官は全国例など私見も述べた。車座対話後の感想には「一生懸命に取り組む現場の視察でヒントを得て横展開したい。制度の問題も含めてお話をうかがった」。農業・観光両面のネックに指摘される離島運賃の問題には「古くて新しい課題。まだまだ足りず深刻な問題だと再認識。しっかりと問題提起して対応したい」などと語った。

 同島農業経営者クラブ副会長の竹田邦男さん(52)=天城町=は「総理補佐官に課題を直接届けられて意義があった。資材の輸送費・物流コストを下げてもらえば経営が安定、(子牛の)購買者も増えると思う」と期待を寄せていた。

 引き続き徳之島町堆肥センターと町観光拠点施設(道の駅、建設中)を視察。2日は奄美大島の「いもーれ秋名」など5施設を視察予定だ。