山形屋、私的整理手続き

私的整理手続きにより再建を目指すことが明らかになった鹿児島市の百貨店・山形屋

金融機関支援受け再建へ

東京商工リサーチ鹿児島支店は10日、鹿児島市の老舗百貨店、山形屋(岩元修士社長)が昨年12月、第三者機関である「事業再生実務家協会」に正式にADR手続き(私的整理の手法)を申請し、受理されたことが判明したと発表した。金融機関の支援を受けながら再建に取り組む。

山形屋は同日午前、自社ホームページで「今後の経営改善に向けた取り組みに関するお知らせ」を掲載。その中で「山形屋グループは取引金融機関の皆様と協議を重ねた上で、事業再生ADR手続きを活用するに至り、現在、収益性確保と資本強化、そして持続的成長を目的とした、より確実性の高い事業再生計画案の策定に取り組んでおります。近々、当社グループ策定の『事業再生計画案』について、取引金融機関様の同意を得て成立する見込みと考えており、これにより当社グループの経営改善に向けた体制が整うものと考えております」と発表した。

事業再生ADR手続きについては「取引金融機関様のみを対象に進められる手続きであり、当社グループと現在お取引をいただいている、お客様やお取引先様(仕入れ先様等)に影響を及ぼすものではない」としている。

山形屋広報によると、負債総額は約360億円。近年の大型商業施設の進出に伴う競争の激化に加え、建物の耐震工事や設備投資を行った矢先に新型コロナウイルス感染症拡大の影響が重なったという。今月28日には3回目の債権者会議を予定。メインバンクの鹿児島銀行など全ての金融機関の合意が得られれば再建計画案が成立し、実行に移る。

山形屋は1917(大正6)年に設立。資本金1億円。県内外に店舗を拡大しながら物産展や文化催事などにも取り組んでいる。奄美市名瀬にはギフトショップがある。

 メモ 

事業再生ADR手続き 取引金融機関である金融債権者の理解と協力を得ながら円滑な事業再生を図る手続き。産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続きであり、公正中立な第三者である一般社団法人事業再生実務家協会(法務大臣により認証紛争解決事業者としての認証及び経済産業大臣より特定認証紛争解決事業者としての認定を受けた団体)の関与の下で進める手続き