奄美群島リーフチェックサミット

奄美群島のリーフチェックの状況について情報交換したサミット(12日、与論町福祉センター)

サンゴのある海保全
与論で初開催

【沖永良部】第1回奄美群島リーフチェックサミットが12日、与論町福祉センターであった。群島内でリーフチェックを行っている団体の関係者や地元住民ら約30人が参加。リーフチェックによるサンゴ礁の保護の重要性について理解を深めた。

リーフチェックは、サンゴ礁の状態や人為的な影響を把握するモニタリング調査のこと。世界中で同じ方法を用いて行われ、奄美群島では、与論島が2000年、奄美大島(大島海峡)は01年、喜界島は18年から実施している。

サミットは、サンゴ礁の保全に向けて調査技術や成果の共有を図ろうと、日本自然保護協会と海の再生ネットワークよろんが共催した。アウトドア用品メーカー「パタゴニア」の環境助成金プログラムを活用した。

田畑克夫町長が「サミットを通してリーフチェックを担う若い人たちが出てきてほしい」とあいさつ。日本自然保護協会の安部真理子さんがリーフチェックの目的や実施している地域、調査の仕方などを説明した。

情報交換では、喜界島、大島海峡、与論島におけるリーフチェックの成果や運営方法について報告があった。喜界島について発表した喜界島サンゴ礁科学研究所の鈴木倫太郎さんら3人は「陸域からの影響が少なく、外洋に面し高水温になりにくいため、比較的サンゴにとっては良好な条件がそろっている」「企業や役場などに協力してもらいながら、持続可能なリーフチェックの体制を作ってきた。島内外の人たちが一緒になって活動を続け、地域づくりにもつなげていきたい」と述べた。

大島海峡について日本自然保護協会の安部さんは「健全度が高く、地域的な豊かさに富んでいる」とした上で「魚類や無脊椎動物の生息数の変化は、10年、20年たって初めて分かることの方が多い」と話した。また、人材育成の面で「20年11月にチームリーダーとチーム科学者の養成講座を開いたことでリーフチェックができる人が増え、チェックポイントも増やした」と述べた。

与論島について海の再生ネットワークよろんの池田香菜さんは「18年の台風で茶花沖のサンゴ群集が激減したが、現在は少しずつ増えてきている」とし、サンゴを守る取り組みとして海中ごみ拾いや赤土の流出を防ぐ植栽活動などを紹介した。

最後に、ゲスト参加した奄美海洋生物研究会の興克樹さんが「サンゴを守るためにできること」と題して講話。ウミガメの上陸数やクジラの発見頭数などのデータを示し「奄美群島の研究者は少ない。海洋生物を活用している地域は、事業者と地域住民が一緒になってローカルルールを作り、それを順守しながらデータを蓄積して保全と活用を進めていくのが良い方法だと考えている」と話した。

与論高校2年で同校サイエンスキャンプに所属する池田琉玖さん(16)は「自分の知らない与論の海について知ることができた。これからも島の海のことを学んでいきたい」と語った。