認知症への向き合い方について講演する丹野智文さん
奄美市が主催する「認知症フレンドリートークライブ」が17日、奄美市名瀬の奄美看護福祉専門学校であった。39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された当事者の丹野智文さん(50)が講演。丹野さんは「認知症イコール終わりじゃない」と訴え、当事者や家族、支援者が共に生きていくための向き合い方を指南した。
宮城県仙台市在住。丹野さんの体験は、認知症とともに生きる現実に迫った映画「オレンジ・ランプ」にもなっており、当事者として理解や意識を高める活動にも国内外で積極的に取り組んでいる。
丹野さんは2015年、若年性アルツハイマー型認知症と診断され絶望したものの、多くの人とのふれあいを通して「共に生きる道を探りたい。病気をオープンにしよう」と決意した。認知症になると何もできなくなると思われがちだが、「(偏見から)周りに行動を制限されることでうつになる人も多い。認知症でも聞く力はあり、考える力もある」と助言し、「認知症になると家族と支援者だけで当事者の行動を決めてしまう傾向がある。認知症でも自分で決めることはできる。意見を尊重しサポートしてほしい」と呼び掛けた。
福岡県若年性認知症サポートセンター長の阿部かおりさんとのトークライブでは、認知症になっても料理をしたいことや、カラオケで最新曲を歌いたいという思いがあることを述べ、「そこに気付くだけで、当事者の人生は大きく変わる」と主張。理想は、認知症を患っても誰もが普通に接することのできる社会で、「みんなが安心して認知症になれる社会をつくっていきたい」と夢を語った。
講演には一般と学生約170人が耳を傾けた。学生代表でお礼の言葉を述べたこども・かいご福祉学科3年の池田遥香さん(20)は「認知症になっても私たちと一緒だと思った。歩幅を合わせながら一緒に歩むことが大事だと感じた」と話した。
18日は、アマホームPLAZAでも同じトークライブを行う。