喜界島で発生が確認されたサトウキビ黒穂病(町農業振興課提供)
県病害虫防除所は、一部のサトウキビ畑で黒穂病が発生し、被害拡大が懸念されるとして病害虫発生予報注意報を出したが、奄美地域で他よりも発生(発病)率が高く、多発生ほ場が確認されているのが喜界島。感染している発病株を放置すると被害が拡大することから、蔓延(まんえん)防止へ町は飛散を防ぐ取り組みをしての早急な抜き取りを生産者に呼び掛けている。
感染した場合、罹病(りびょう)茎は健全茎よりも茎が細くなり、節間が伸びて徒長し、先端部に黒いむち状のもの(鞭状物でいわゆる黒穂)を形成するのが特徴。生育に異常が生じることから、製糖原料として重要な品質が低下し、収量も落ちる。
町農業振興課によると、今月に入っての沖永良部島での発生確認を受けて14~17日に島内のサトウキビほ場を調査。50か所を対象にしたところ11か所で発生を確認したもので、小野津地区や嘉鈍地区を中心に発生しているという。多発生ほ場(発病率4・0~6・0%)が確認されている要因について、同課は「昨年発生した所、それ以前に発生した所で引き続き確認されていることから、病原菌が残り多発生につながっているのではないか」と推測する。町は昨年も6月に防災行政無線を通して黒穂病の発生確認を放送し、防除対策の周知に取り組んだ。
健全な茎に病原菌が感染する蔓延防止へ改めて取り組みを求めているのが防除対策。感染した発病株を見つけたら胞子の飛散を防ぐため、「キビの梢頭(しょうとう)部をビニール袋で覆い株を抜き取った後、焼却処分」する方法がある。黒穂病に有効な農薬などはない。町農業振興課は「製糖工場の生和糖業など関係機関と連携して防除取り組みの徹底を図っている。梅雨入りし22日はまとまった雨量があった。抜き取りをせず放置すると雨水によって病原菌の胞子が拡散することから、防除対策が進められているか定期的にほ場を巡回するなど注視していきたい」としている。