性感染症の実態学ぶ

梅毒の危険性や治療法などを学んだ性教育講演会(23日、大島高校)

「梅毒」複数例報告受け 大島高校で講演会
県立大島病院の医師登壇

 奄美市名瀬の県立大島高校(貴島邦伸校長、生徒642人)で23日、2024年度エイズ予防普及講演会として、名瀬保健所管内で23年度に複数の感染が報告されている性感染症の一つ「梅毒」感染を啓発する講演があった。県立大島病院の医師らが登壇し、コンドームを使った避妊法や、性交渉によって感染し、子宮頸がんや膣がんを発生させるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染症の予防ワクチンなどについて解説した。

 今回の性教育講演は、県内で2022年から感染が急増し、管内でも複数の届け出がある「梅毒」の拡大防止を目的に開催。同保健所の担当者が感染状況について、「管内でも10代の感染の届け出がある」などと報告、妊娠中の感染の危険性などを訴えた。

 大島病院総合心療内科の小德羅漢(ことくらかん)医師(32)と上村英理(かみむらえり)医師(40)が「ためになる性教育~自分と大切な人を守るために」と題してして講演。

 小德医師は「奄美大島で梅毒が流行している。緊急事態です」と第一声。粘膜を介して感染し、痛みを伴わない口内炎のような症状や、全身に広がる皮膚の潰瘍などを引き起こす梅毒の危険性を解説。感染早期に接種すれば1回で完治するペニシリン系の注射薬なども紹介した。

 全員にコンドームが配られ、正しい使い方や避妊の大切さも講義された。性行為後72時間以内に服用すれば有効な緊急避妊薬についての説明もあった。

 小徳医師は「相手のことを大事に思う気持ちが大事。一方的な性交渉ではなく、愛のあるセックスをしよう」と呼び掛けた。

 上村医師は、性交渉で感染し、年に約3000人が犠牲となるHPV感染症の予防ワクチンの接種を推奨。誕生時に生物学的な特徴によって割り当てられる「シスジェンダー」や性的少数者と言われる「トランスジェンダー」についても言及した。

 3年の柳原結(ゆう)さんは「梅毒が奄美ではやっていると知り危機感を感じた。これまでは実感がなかったが、来年は社会に出る。自分のこととして捉えたい」と話した。

 同病院による性教育講演は、6月13日古仁屋高校、7月4日大島北高校、11日奄美高校で開催される予定。