【東京】奄美群島振興開発特別措置法の有効期限を2028年度末まで5年間延長する法律が4月施行されたが、国土交通省は24日、同法に基づいて奄美群島の振興開発を図るため、新たな奄振基本方針を策定したと発表した。振興開発の方向として①移住・定住の促進②自然及び文化の継承③活発な稼ぐ力の向上④住民の生活の利便性の向上⑤社会資本の整備及び維持管理―の5項目を定めている。
同省国土政策局によると、基本方針は奄振審議会での審議や関係行政機関の長との協議を経て、7主務大臣(国土交通、総務、農林水産、文部科学、厚生労働、経済産業、環境)が策定したもの。今後、振興開発の施策を具体化するため新たな基本方針に基づき、鹿児島県が開発計画を定めることとされている。
基本方針で示された振興開発の方向の「移住・定住の促進」では、空き家の活用等による移住者向けの住宅確保などのほか、移住者と地域コミュニティーの円滑な関係構築など総合的な支援を講じる。「自然及び文化の継承」では、沖縄と連携し、観光の高付加価値化、エコツーリズム等を推進、シマ唄や八月踊りなどの継承にも取り組む。「稼ぐ力の向上」では、農林水産業の生産性の向上や6次産業化、黒糖焼酎の輸出促進、本場奄美大島紬の担い手確保等を推進するという内容となっている。
基本的事項は「産業の振興開発」「就業の促進」「交通通信の確保」など16項目。なかでも文化・伝統を生かした体験学習や郷土学習、探究的な学習、情報通信技術(ICT)を活用した遠隔教育の推進を掲げる「教育及び文化の振興」、エコツアーガイドや情報通信分野など各種産業の担い手の育成を目指す「人材確保及び育成」。ICTを活用した遠隔医療の充実とする「医療の確保等」も基本的事項とされた。
また、その他の事項として、県は交付金の趣旨に鑑み、群島内市町村のニーズを踏まえ、沖縄との連携促進や移住の促進、産業振興などの各種事業に効果的に交付金を活用。奄美群島振興開発基金は、その業務を通じて群島の産業振興に貢献するとともに、28年度末までに単年度収支の黒字化を図ることなどとしている。